第8話 望まない時間 ページ10
前「一月もう終わりだな」
そんな話をしながら
今日は私も一緒に皆で帰っていた
一月が終わるということは
当然二月がやってくる…
「こんなボロい校舎に…」
その時後ろの方から声がした
『!?』
こ…この声は…
『な…何で』
何で今この声が聞こえるの
一番後ろを歩いている私にしか聞こえなかったらしい
皆気にせず歩いている
振り返りたくない
でも振り返って違うという事を確認したい
立ち止まり恐る恐る後ろを振り返る
業「A?」
私の名を呼ぶカルマの声も聞こえていなかった
『…何で…ここに…』
そして僅かな希望も虚しく砕かれ
そこには一番望まない人物が立っていた
「君はさっきから“何で”ばっかりだね
Aちゃんはもっと賢い子だったと思うが」
体が…動かない
『何で貴方が…ここに』
「決まってるじゃないか」
そう言ってゆっくりと回り込みながら
こちらに近づいてくる
『…やっ…来ないで』
竦む足を懸命に動かし後ずさるが
トン……
背後には壁が立ちはだかり逃れられなくなった
足はガクガクと震え力が入らなくなり
立っていられず壁に背を伝わせ私は座り込んだ
それでもなおその男は近づいてくる
そしてついに目の前に立った
目なんか合わしたくない
そう思い伏せようとした瞬間
「ダメだよ逸らしちゃ」
男は私の顎の下に手を添え上を向けさせた
『……ッ!』
冷たい手
嫌でも覚えている
「久しぶりだね、Aちゃん」
その声で…私の名前を呼ばないで
『…いや……はな…して…』
「悦い目だ」
そう言って男はその手を滑らせ私の首を掴もうとした
その時
「やめろ!!」
叫び声に近い怒号が聞こえた瞬間
私は誰かに頭を抱えられ引き寄せられた
私の視界は真っ暗になる
『!』
烏「何故お前がここにいる」
惟臣先輩だった
私を庇うように回された惟臣先輩の腕に力が入る
「おや、貴方は…」
烏「何故ここにいると聞いているんだ」
「決まっているじゃないですか
その女…
西条Aに用があって来たんですよ」
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ナナシの人 - 前作の最後といい今回の第3話といい カゲロウデイズのヒビヤみたいで少し嬉しかったです(カゲプロ好きなので) (2019年11月21日 16時) (レス) id: 710da74c2e (このIDを非表示/違反報告)
トモシビ - もう何回読んでもボロボロ泣けますよね… (2016年7月25日 19時) (レス) id: 3b170e76e9 (このIDを非表示/違反報告)
ユウ(プロフ) - トモシビさん» 最後のところ何回読んでも泣けますよね…私も書きながらヤバかったです… (2016年7月25日 9時) (レス) id: cbb44fedf8 (このIDを非表示/違反報告)
トモシビ - 泣ける…ヤバイ、涙が… (2016年7月25日 2時) (レス) id: 3b170e76e9 (このIDを非表示/違反報告)
未来 - 夢主ちゃんの過去・・・てか殺せんせーでてきたし・・・どうなるの? (2016年7月19日 17時) (レス) id: 0628018844 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユウ | 作成日時:2016年4月10日 15時