第36話 助けの時間 ページ38
気付くと私は男の手を蹴り
向けられた銃を奪い取っていた
「何！？」
そしてその男に銃を向ける
ﾊﾟﾝﾊﾟﾝﾊﾟﾝｯ…
何発かの銃声の後ドサドサッと人が倒れていく音がした
『！？』
私はまだ引き金を引いていない
「大丈夫かい？」
しんと静まり返った部屋に声が響いた
『…死神？』
「久しぶりだね、A」
『何でここに…』
「約束しただろ？
君の両親に何かあれば助けに来るって」
お父さんとお母さんに何かあれば…
あの時は分からなかったがこういうことだったのか
ｶﾞｼｬﾝ…
私の手から銃が抜け落ちる
震えが止まらなかった
死神は私の方へゆっくりと歩いて来て
私の頭に優しく手を置く
そして死神は私を真っ直ぐ貫く様に見た
「今日僕を見た事は忘れなさい
気付いたら彼らは倒れていたんだ
分かったかい？」
私も必死に死神を見て
震えながらも静かに頷いた
＊
暗いけれど赤く染まった目の前の景色に何も考えられなかった
死神はもうすぐお父さん達の仲間が来ると言い去ってしまった
このまま自分も死んでしまおうか
その時目の前に人が現れ私に手を差しのべた
「大丈夫か？」
また襲われる
私の耳には何も入らなかった
ただ恐怖心があるだけだった
『来ないで…』
私は重たい足を引きずり後ずさる
しかしその抵抗も虚しくその人につかまった
『！』
ここまでか…
幼いながらも死を覚悟し目をつぶったが
いつまで経っても痛みは来ない
「大丈夫だ
ここに君を襲う奴はもういない」
その人は優しく私を抱きしめそう言った
冷たい体が温められていく
そして安心感からかそのまま意識が途絶えた
＊＊＊
「気が付いたか」
目を開けると男の人が視界に入る
「俺は君のご両親と同じ防衛省の烏間惟臣だ」
『お父さんとお母さんは…』
烏「…」
返事はなかった
つまりはそういう事だ
それから暫くして
どこからか出してきた物を差し出した
烏「食べるといい
少しは気分が良くなる」
何も言わず受け取り包を開けると
チョコレートが入っていて私はそれを口の中に入れた
とても甘く何故か涙が出そうになる
するとまた抱き締められた
烏「我慢しなくていい」
堪えきれず流れた涙はもう止まらなかった
『ありがとう…惟臣さん…』
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ナナシの人 - 前作の最後といい今回の第3話といい カゲロウデイズのヒビヤみたいで少し嬉しかったです(カゲプロ好きなので) (2019年11月21日 16時) (
レス) id: 710da74c2e (このIDを非表示/違反報告)
トモシビ - もう何回読んでもボロボロ泣けますよね… (2016年7月25日 19時) (レス) id: 3b170e76e9 (このIDを非表示/違反報告)
ユウ(プロフ) - トモシビさん» 最後のところ何回読んでも泣けますよね…私も書きながらヤバかったです… (2016年7月25日 9時) (レス) id: cbb44fedf8 (このIDを非表示/違反報告)
トモシビ - 泣ける…ヤバイ、涙が… (2016年7月25日 2時) (レス) id: 3b170e76e9 (このIDを非表示/違反報告)
未来 - 夢主ちゃんの過去・・・てか殺せんせーでてきたし・・・どうなるの？ (2016年7月19日 17時) (レス) id: 0628018844 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ユウ
| 作成日時：2016年4月10日 15時
