私まだ死にたくないんですけど。 (ページ7)

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任務ページ7

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時刻は７時半。

「首領。安部です」

「入り給え」

「失礼します」

少し声が震えた。

中に入ると、珍しく(失礼)真面目に椅子に座っている首領がいた。

「…却説」

薄暗い執務室の中、鋭い視線が刺さる。

「安部君。君の耳にはもう届いていると思うが、武装探偵社から、一時停戦、及び同盟を申し入れられた」

「存じております」

首領は頷くと、再び口を開いた。

「…完全な同盟を結ぶ論理解は存在する。同盟の本質とは先払いだ。相手のために先に損を支払い、それが百倍の利となって返ってきて初めて、過去の遺恨を超えた同盟が可能となる」

すると、首領の背後に控えていた警護の黒服が、私の前の机に地図を広げる。

「今夜、Ｑの奪還に探偵社が動く。場所はここだ。そして、私はそこに中原君を送り込んだ。これがどういうことか、わかるね？」

「…双黒の復活、ですか」

「そうだ。だが今回の敵は少々厄介でねえ。人外のものなのだよ。普段は人の形をしているが、化け物への変化が2段階あることが分かった。1段階目なら倒せるだろうが、2段階目の方が怪しい。しかしそこに大量の戦力を送り込むのは最適解ではない」

すると、首領が立ってこちらへ歩いてきた。

身体が一層こわばる。

「君の今の異能はなんだったかね？」

「…『汚れつちまつた悲しみに』です」

首領はまた頷く。

「やったことはないが、君ならできるだろう。車はすでに手配してある」

小さな通信機を渡される。

受け取る手が震えた。

「…失礼しました」

深く礼をして、部屋から出る。
エレベーターに乗ると、詰まっていた息を吐きだした。

死ぬかと思った。

正直これから行く任務とか比じゃない。

…流石に嘘ついた。

エレベーターでロビーまで降りた。

そして、ビルの前に停まっているそれらしき車に乗り込む。

車が発車した。