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目の前の出来事 ページ25

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「タイガービートル、教えてくれ。この世界で、全てを犠牲にする価値のあるものは、家族以外に存在すると思うか?俺は本を手に入れる。そして娘をこの世に呼び戻す……!」

「娘?」


芥川さんが聞き返したが、フィッツジェラルドはなおも続けた。

落雷がひと際激しく轟いた。


「妻ゼルダは……娘の死を受け止められず、心を病み、娘はロンドンに留学中という妄想の中に、今も逃げ込んでいる。俺はその妄想を現実にし、家族を取り戻す。…どんな犠牲を払っても」


刹那、フィッツジェラルドが激しく光を放った。

雷落ちたかと思った。


「処分可能な俺の資産…そのすべてを支払う!」


ものすごい爆風で体がもっていかれた。

そのくらい凄かった((


甲板に投げ出された私は、眼下に横浜を見た。

やはり白鯨を何としても止めなければ。


だが、太宰さんに禁止令を出されている。

それに、今向こうに出て行ったとしても、身体強化の拳か虎のかぎ爪か羅生門でぶっ殺である。


どっちにしろ死ぬ。

それに足が竦む所詮は私も臆病者である。



目の端に、フィッツジェラルドに飛びかかっていく二人が見えた。


再び、ものすごい爆風。

吹き飛ばされないように踏ん張っているのがやっとである。


その間にも、二人はフィッツジェラルドに果敢に飛びかかり、そして叩きのめされる。

思わず目をつぶりたくなるような光景だった。


直感で悟った。


私はあの人たちの間には入れない。


「人虎!!!!!」


芥川さんがそう叫ぶのが聞こえた。









爆風と共に、雲が晴れた。

通信→←エレベーター使いてえ。



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作者名:のーと。 | 作成日時:2018年3月28日 9時

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