着信 ページ22
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異能力については聞いていたが、ここまで強力とは思っていなかったので、かなり驚いた。
「黙れ。僕の
芥川さんの言葉に、フィッツジェラルドは笑みをにじませ、羅生門を絡めとると、芥川さんにこぶしを食らわせた。
否、それは空間断絶によって阻止されていた。
「俺は二番手が嫌いでなぁ。序列の変更を要求する」
フィッツジェラルドがそう言うと、芥川さんは黒獣を繰り出して攻撃した。
「いいだろう!」
しかしそれも素手で止められる。
一旦羅生門が引いたその隙に一気に殴り飛ばされてしまった。
「頑張る君に、成功の秘訣その4を教えてやろう」
「…要らぬ。『羅生門』・黒波濤!」
「…五十万ドル。」
フィッツジェラルドがつぶやいたその額を計算する。
「…五千万円とちょっと……」
あまりに吃驚したので声に出てしまった。
それにしてもそんな額を平気で使うなんて。
あたりが光で埋め尽くされたかと思うと、芥川さんは倒されてしまっていた。
「成功の秘訣、その4だ。『ただ強者たれ』。金と権力、異能力に地位。強さの種類は一つではないが、まあ俺のようにすべてを持つのが無難だな」
自慢にも聞こえるその言葉と、倒れたままの芥川さんを目の当たりにして、流石に加勢しようかとすくむ足を必死に前に出そうとすると、携帯が腿に当たって振動しているのが分かった。
そうだ、マナーモードにしていたんだった。
中島さんが復活してフィッツジェラルドに掴みかかっているのを横目に、電話に出る。
知らない電話番号だったが、電話の主は知っている人だった。
なるべく声を押し殺して応答する。
「…太宰さん、電話番号変えたんですか?」
「今はそれどころじゃない。君もそうだろう。今、白鯨にいるね」
「…何故それを」
太宰さんは私の問いを再びスルーし、話を続ける。
「芥川君と敦君…虎の少年だ。二人がそちらにいるはずだね。二人の近くにいるかい」
「…はい。でもなぜそれを…」
もはやストーカー級である。
しかし、太宰さんはその問いすら流す。
静かな抑揚のない声で太宰さんが告げた。
それは、まさに私が今やろうとしていたことだった。
「…君は一切、二人の闘いに関わってはいけないよ。いいね」
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作者名:のーと。 | 作成日時:2018年3月28日 9時