私まだ死にたくないんですけど。 (ページ21)

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フィッツなんとかページ21

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絶望の表情から我に返った芥川さんのあとをこそこそつけていくと、非常に痛そうな音と呻きが聞こえてきた。

角からこっそりのぞくと、そこには中島さんとフランシス・フィッツ…何とかがいた。

組合の長らしいが、なんとも恐ろしい能力を持っている。

「おや…」

芥川さんの存在に気づいたらしく、笑みをこぼす。

「珍しい客人だ。ミスター…あぐあ……あーぐあー、か」

「芥川…！」

パチン、とよく響く音を鳴らすと、組合の団長は言った。

「それだ」

…思い出した。
フィッツジェラルドだ。

フィッツジェラルドは、芥川さんが歩いていくのにもかまわず悠々としている。

流石は組合の団長といったところか。

一般人であれば恐怖で気絶、腰が抜けるのは免れないだろう。

「やあ、ミスター・芥川。歓迎したいのはやまやまだが…」

フィッツジェラルドの言葉を遮るように、芥川さんが中島さんの脇腹を蹴り飛ばした。

彼は誰から見ても弱っているというのに、容赦がない。

「誰の許可で床に転がっている。今度は逃がさぬ。立って戦え！」

中島さんにとっては最悪の状況だろう。

「先刻貴様は、僕が理解できぬと云ったな。僕からすれば、貴様こそ理解できぬ！」

そう言ってまた中島さんの腹を蹴る。

「その臆病な目は、己の力も異能力も信じていない。だのにいつも無謀な死闘に挑む。その矛盾した自尊はどこから来る！」

再び中島さんを蹴り上げた芥川さんを、フィッツジェラルドが制止した。

「その辺にしておけリトル・ガイ。そうでなくとも俺は無視され…」

フィッツジェラルドの言葉をまたもや遮り、芥川さんは羅生門を繰り出す。

しかし、フィッツジェラルドはそれを掌でいとも簡単に止めてみせた。

ぱねぇ。