味方が怖い ページ19
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「…案外入りやすかったな」
海外の人ってこういうのもっと厳重にやると思ってたんだけど。
駐屯地にやってきた私は、あらかじめ調べておいた監視システムや組合の構成員の目を掻い潜ってヘリポート的な場所にたどり着き、適当な陰に隠れた。
あまりにうまくいったので、少し驚いていると、ある人物がやってきた。
言わずもがな、芥川さんである。
相変わらず咳をしている彼は、なんだなんだと銃を構えて集まってくる構成員を黒獣で蹴散らす。
芥川さんのことだから、きっとここまで組合の構成員をなぎ倒しながら来たのだろう。
……敵に回さなくてよかった(確信)
芥川さんはそのままヘリの中へと入っていく。
芥川さん味方だから大丈夫か、と久しぶりにあほのこスキルを発動させて私もそっとそのあとをついていき、手頃な場所に身を潜めた。
ここで見つかったら降ろされる。
下手したら人生降ろされる。
悲鳴がやっと止んだかと思うと、今度は話し声が聞こえてきた。
一方は芥川さんで、もう一方はヘリの操縦士のようだ。
脅しているのか。
やがてヘリが出発し、芥川さんに見つからないようとにかく必死で息を潜めた。
腕時計では十五分ほどしかたっていなかったが、体感は三時間ぐらいだった。
怖かった。
やめとけばよかったなー、と今更無理な後悔をしていると、ようやくついたようだ。
外からくぐもった話し声が聞こえてくる。
何とか聞き取れるほどだ。
「何?パイロットからの応答がない?」
「はい、通信機のトラブルですかね。」
ゆっくりと扉が開いた。
「…なんだ?」
外にいる構成員たちの見た光景はどれほどのものだったろう。
そしてその直後の死の恐怖たるやもう。
可哀想に。
……敵に回さなくてよかった!(二回目)
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「……はい」
太宰が自身のもとに入った着信に応答すると、予想通りともいえる人物の声が聞こえた。
「ご機嫌かね?太宰君」
だがやはり気持ちのいいものではなく、眉を寄せた後、たっぷりと間を開けて返す。
「何ですか森さん。マフィアとは、探偵社の作戦を邪魔しないよう、協定を結んだはずですが」
「その協定だが、今部下から連絡があってねえ……」
____守れそうにないのだよ
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作者名:のーと。 | 作成日時:2018年3月28日 9時