質問 ページ18
.
「…11時半」
この一言で私が一瞬焦ったのを理解していただきたい。
休暇ということで久しぶりにすごい寝た。
遅刻したかと思った。
ちなみに高校生の理想の睡眠時間は8時間らしい。
最低でも6時間。
平均は7時間33分。
私連日3時間!(絶望)
家族は皆、各々学校なり仕事なりに行っている。
つまり家には私しかいない。
最高だ。
「チンして食べてね」の指示通りに食事を済ませると、ソファーに寝転がってテレビのチャンネルを回す。
ニュースをやっている放送局で止めると、そのまま携帯をいじる。
音がないと落ち着かない性分だからね。
すると、あるニュースにケータイをいじっていた手が止まる。
「先日ヨコハマを中心に発生し、500名以上の死者、1700名以上の重軽傷者を出した連続暴動事件。この事件について専門家は……」
何気に初めて知った。
この前の焼却作戦の被害。
確かに呪いを受けた人の数は凄かったし、電車とかも各地で脱線したりしたらしい。
そりゃこのくらいになるか。
また携帯に目を戻そうとしたとき、ピコン、と効果音がつきそうなくらい突然思い出した。
「組合」という単語で共通していたからだろう。
昨日広津さんから聞いた、組合の駐屯地とやらを見に行こうと思ってたんだった。
客船が梶井さんのせいで焼けちゃったからか、嗅ぎつけられないように上手く街にカモフラージュしてるつもりだったんだろうけど、庶民の感性を忘れてしまったらしい。
バレバレだ。
確かここから三十分ちょっとくらいだから、さっさと行かないと間に合わない。
ちなみに家は郊外だといわれれば否定はできないくらいに、マフィアの本部ビルからも少し離れている。
ただ電車だと行き過ぎるので非常に不便だ。
ハイスピードで着替えて歯磨きやら洗顔やらを済ませると、携帯をパーカーのポケットに突っ込んで外に出た。
大きな交差点に差し掛かると、偶然、太宰さんに会った。
向こうもこちらに気づいたようで、近づいてきた。
「やあAちゃん。こんな物騒な時に、どこへ行くんだい?君だって情勢は知っているだろう」
「いえ、ちょっとそこまで。太宰さんは?」
「私もだよ」
久しぶりに明るい笑顔を向けてくれた太宰さん。
嫌われてんのかと思ってたからちょっとほっとしていたら、謎の質問をされた。
「携帯は持っているかい?」
「え?あ、持ってますけど、それがどうかしたんですか?」
聞き返せば、いや何ね、と誤魔化された。
解せぬ。
78人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:のーと。 | 作成日時:2018年3月28日 9時