森鴎外(仮) ページ9
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しばらくオレンジ色の髪のお兄さんに睨まれていたが、ようやく合点がいく。
これが神様(自称)が言っていたやつか。
そしてこの人は多分中原中也。
文豪ストレイドッグスの。
友達がいつか見せてきた。
あだ名が面白かったので覚えてる。
それにしても転生&トリップみたいな学生時代に読んでた小説みたいなこと、あるんだな。
しかもよりによって文スト。
「ちびっこ蛞蝓マフィア……」
はっ、とその言葉が目の前の中原中也(仮)に聞こえていやしないかと慌てたが、聞こえなかったようだ。
「あ?」
「いえ!なんでもないです!なんでもないよ!」
それに、中原中也(仮)はため息を吐くと、「ついてこい」と言う。
どうやら面倒なことに首を突っ込んだようだ。
マフィアに連れ去られるなんて聞いてないよ私。
だが、すごい威圧を感じたのでついて行くしかなかった。
マフィアの本部のようなところにつくと、ある部屋の前まで案内された。
「首領。中原です」
どうやらこの人は中原中也で間違いないようだ。
で、首領ということは森鴎外か。
友人のおしゃべりがこんなところで役立つとは。
ありがとう友人。
しかし、その首領とやらはなかなか出てこない。
中原中也はまたため息を吐くと、「失礼します」と返事を待たずに扉を開けた。
中にはどんなすごそうな人がいるのやらと不安になっていたが、それは一気に崩れ去った。
「エリスちゃーん、これ着てよ〜。エリスちゃんに似合うと思って取り寄せたのに〜」
「それリンタロウの趣味でしょ!」
上半身下着の金髪美少女を中年男性がふりふりのワンピースを持って追いかけ回していた。
中原中也をちらっと見ると、呆れたように咳払いをする。
すると、森鴎外(仮)の動きがぴたっと止まる。
「あ、ああ、中也君、ちょっと待ちたまえ」
森鴎外(仮)はいそいそと女の子を別の部屋に連れていくと、こちらに向き直り、改まった表情をした。
「そちらは?」
当然私のことである。
先ほど女の子を追いかけ回していたのを見てしまったので、返事をしようにもどう返していいのかわからない。
「拾いました。異能力者です」
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作者名:のーと。 | 作成日時:2018年2月6日 18時