検索窓
今日:3 hit、昨日:3 hit、合計:156,177 hit

番外編?:織田作之助という人 ページ45

.

それは、中一の定期テスト最終日の帰り、家に誰もいないため昼食をと寄った一軒の洋食屋での出会い。


「えっと、カレー甘めで」

「はいよ」

甘口で悪かったな辛いの苦手なんだよ。


暇つぶしに宿題でもやってやるか、とテストが終了するや否や大量に出された宿題の中から国語を引っ張り出した。

しばらくすると、一人男の人が入ってきた。

私と椅子を一つ挟んだ左側にその人は座った。


向こうが会釈してきたのでこちらも返す。



偉いぞコミュ障予備軍(既に手遅れ)

「親爺さん、いつもの」

「はいよ。お嬢ちゃん、どうぞ」

「ありがとうございます」


宿題を片付け、早速カレーに取り掛かる。



「カレーの味はどうだい?」

「…いつも通りだ。子供たちの様子はどうだ」

「いつも通りだよ。みんな二階にいるから顔出してやって」


そんな会話を聞き流しながら黙々と食べていると、男の人が立ち上がったのがわかる。


えっ、食べるの早。




男の人が出ていって間もなく、上から子供のものらしき声と地鳴り(?)が聞こえてくる。

「元気だねえ」



「……太宰幹部?!」


「ん?ああ、中也んとこの安部君か。何でここにいるの?」

「ち、昼食を…」


太宰幹部はふうん、とそれだけ言って私の隣に座った。




…隣に座った。


太宰幹部が隣に座った、それだけで私の心の中はもう大荒れである。

今の太宰さんからは想像出来ない、隣に座るだけで、少し話すだけで精神的に殺される感じ。


「辛っ、辛いよおじさん。これ隠し味に溶岩でも入ってるの?」

「織田作ちゃんはいつもそれ食べてるよ?」



ああ、救世主よ、と思っていると、丁度あの男の人が帰ってきた。


「ああ、子供たちはどうだった?」

「いつも通りだ」


「二年前の龍頭抗争で、親を失くした子供たちかい。決して殺さず、出世に興味はなく、孤児を養うマフィア、織田作之助。変わってるねえ。ポートマフィアの中で一番変わってるよ」

「お前ほどじゃない」

番外編?:織田作之助という人→←方舟さくら丸・舟員



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.7/10 (41 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
77人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

この作品にコメントを書くにはログインが必要です   ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:のーと。 | 作成日時:2018年2月6日 18時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。