パトカー ページ39
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芥川さんに、先ほどカルマトランジットの連中を口封じに殺したから生きてるやつがいないか確認してこいという連絡がきて、カルマトランジットの本部にきていた。
自分で確認してからその場を離れよう、芥川さん。
すると、声が聞こえてくる。
「っ、やられた…!先手を打たれました!」
谷崎さんの声っぽい。
「口封じに…全員、殺されてます」
誰かと電話をしているみたいだ。
「ん?谷崎さんじゃないですか」
「っ!」
そんなにびっくりしないで私のガラスのハートが傷付いてしまう…。
「ポートマフィアがいます。……Aちゃんです」
谷崎さんの方へ近づくと、やがて電話相手がわかった。
〈なんだと?谷崎、逃げろ。そいつは遠距離異能の能力者だ〉
国木田さんだ。
「あらまあ、派手にやったもんですね。酷いわこりゃ」
聞こえないふりをして谷崎さんの奥を覗き込む。
マジでひどい。
殺すくらいだったら自分のトラック使えばいいのに。
急に、谷崎さんが声をかけてきた。
「これ…Aちゃんがやったの…?」
「え?」
これを?
私が?
「そんなわけないじゃないですか。私の“今の”異能力は一度にこんなに大量殺人できるものじゃないし、なにより私あんまり人殺したくないので』
そうです。
今の私の能力は「墓地への道」です。
トーマス君に借りてます。
「じゃあ、なんでここに…」
『確認して来いって言われたんです。探偵社や軍警がいたら殺せって』
「!」
あからさまに肩を震わせ、一歩ずつさがっていく谷崎さん。
いや殺す気はさらさらないんだけれども。
〈谷崎!今救援に向かう。変な真似はするなよ。殺されるぞ〉
「国木田さーん、全部聞こえてますよー。言ったでしょうが私人殺したくないの。殺した人に大事な人やら待ってる人やらがいたら不憫でしょうが。…谷崎さんには妹さんがいるんでしょ?」
電話を取り出し、芥川さんにかける。
「あ、もしもし?誰もいませんでしたよ」
〈重畳〉
「…なんかパトカーの音聞こえてきたけど」
〈そうか。うまくやれ〉
ツー、ツー、ツー…
酷くない?!
非合法組織の自分の相棒(仮)にパトカーが接近しているのにもかかわらず!
「そうか。うまくやれ」だと?
ふざけるなパフェ奢れ!
顔が割れていないとはいえ隣に自分の素性知ってる人いるんだよ?
やべえこれバラされるんじゃないの?
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作者名:のーと。 | 作成日時:2018年2月6日 18時