成長 ページ37
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これは非常にまずい。
「それにしてもA、なんで手前がここにいる」
「だって太宰さん捕縛したの私だし」
「そうなのだよねえ…。Aちゃんすっかり強くなっちゃっててさあ」
「太宰さんの体術は中堅以下なんだって中也さんが言ってました」
「へえ、こんなチビに?それにしても、脳筋チビの訓練でここまで強くなったAちゃんは流石だよねえ…。自分より5cmも低い人の体術訓練なんて、私受けたくなーい」
「4cmですよ」
「フォローになってねェよ!」
あれ?精一杯のフォローをしたつもりなんだけど…(再びゴミ)
「5cmも4cmも変わらないよ」
「……言ってろよバガボンド。だが今や手前は悲しき虜囚。泣けるなァ、太宰」
中也さんが太宰さんに向かって歩き出す。
「いや、それを通り越して少し怪しいぜ。丁稚の芥川とAは騙せても、俺は騙せねえ。何しろ俺は手前の元相棒、だからな。何するつもりだ」
「…何って見たままだよ。捕まって処刑待ち」
「あの太宰が不運と過怠で捕まるはずがねェ。そんな愚図なら、俺がとっくに殺してる」
「考えすぎだよ。そもそも君何しに来たの?私、Aちゃんとの
「はっ?!」
「すいませんそんなわけないじゃないですか」
あとで絞め半殺してやろう。
「……嫌がらせだよ」
「ん?」
「あの頃の手前には散々弄ばれたンだ…。だが」
あっ待って私今の「だが」って言ったの好き!
イケヴォだ!
「そういうのは大抵あとで十倍で返される」
中也さんが太宰さんを拘束している鎖を蹴りで破壊する。
「手前で何を企んでるか知らねえが、俺と戦え、太宰。手前の腹の計画ごと叩き潰してやる」
「…中也」
太宰さんが指を鳴らすと、鎖が外れる。
流石太宰さん(尊敬の眼差し)
「いつでも逃げられた、ってか」
「君が私の計画を阻止?冗談だろ?」
「…A」
「はい」
「ここから出ておけ。このことは口外無用だ」
「承知しました」
「えー、私もAちゃんに命令してみたいー」
「手前は黙れ、太宰。ほら、行け」
去り際に中也さんにくしゃっと髪を撫でられた。
折角前髪落ち着かせたのに…。
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作者名:のーと。 | 作成日時:2018年2月6日 18時