夢のような御伽噺を (ページ9)

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「Aちゃん、お兄さんって人間？」

センラは真剣な眼差しでAの目を見た。

「は、…人間ですけど。てか何故兄がいると分かったんですか」

「んー、なるほどなぁ…お兄さん人間か」

その会話を聞いていたうらたぬきがAに向かって口を開いた。

「その兄はさ、生きてんの？」

ドキッとした…だってその質問に返す言葉は。

「生きてないです」

この5文字だからだ。

「生きてないんか、そうかぁ…そらるさんの友達と言えば、いつも一緒にいるまふしかおらんくない？な、まーしぃ」

志麻に確認する坂田。

「せやな、幽霊のまふまふだな。でも妹いるって言うてたけ？妹欲しいは言うてたけど」

「まふまふ？…私のお兄ちゃんはまふゆって言うんですけど……でもあだ名はまふまふでした…」

その瞬間

「ってことは、お前はまふの妹ってこと？だったらなんで妹欲しいだなんて、まるで妹が居ないような口ぶりを…」

うらたぬきはそう言うと、ちょっと出かけてくる。と言って部屋から出て行った。

「ぇっと、まぁ…とりあえず、そらるさんに頼まれたんやからお世話せんとな」

志麻はそういい、どこからか出した短パンとTシャツをAに渡した。

「え…どこから出したんですか志麻さん」

目を丸くして志麻を見つめるAを、ニヤニヤとした顔の志麻。

「まぁ、着替えなよ。血塗れなんだし」

「だったら、風呂入りたいやろ！俺が案内するわ！！」と坂田はAの手を引っ張り部屋を出ていった。

「俺も連れてけよ〜、さかたぁ〜！」

志麻は坂田とAの後をついて行って部屋には誰もいなくなった。