夢のような御伽噺を (ページ5)

今日:5 hit、昨日:6 hit、合計:384 hit

5 ページ5

廊下を誰かが走っている音がする。

「なんや…？騒がしいな」

その足音が近づく度に徐々に強くなる人間(エサ)の匂い。

「ｯ坂田！！！助けてくれｯｯ」

勢いよく扉を開け、息を切らしたセンラの姿があった。

「どうしたんや？！その人間ｯ！」

甘い香りに当てられて意識が朦朧としているセンラに近づき、人間を離した。

「そいつを…助けてくれｯ坂田…！！」

血まみれになった白髪の少女を指さすセンラ。

「…分かったｯ！」

坂田はそう言い、自分のベットへ、少女を運んだ。

「蝗槫ｾｩ縺励ｍ」

少女の周りを光が包んだ。

赤いソファーの上で、キョンシーの男は目を開けた。

「…は…ｯそうや、女の子はｯ」

身体を起こし周りを見渡す。

「大丈夫やでセンラ、あの人間は生きとるよ」

センラの肩を叩き、ベットを指さす坂田。

そこには、規則正しく息を吸う白髪の少女が眠っていた。

「ありがとう、坂田」

ほっとして胸を撫で下ろすセンラを見て、坂田は微笑んだ。

「良かったわぁ、センラも目を覚ましてくれて俺はちょっと疲れたから寝るね」

そう言い、坂田は部屋から出て行った。