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「えっ？」
試しに左頬を触ろうとするが辞めなさいと手を止められた。
「結構酷いでござるから、早いとこここから出よう」
「待ってください！まだ炎が･･･」
「あぁそれなら･･･」
フギャアアアア！！という声が遠くから聞こえた。聞いたことの無い声だったから、新入生だろうか。
「ローズハート氏とアズール氏が捕まえたでござるよ、だから大丈夫でござる」
「はぁ･･･それにしても、あの、魔力がない･･･新入生？はどうなるのですか？」
「今それ関係あるでござるか？早くしないと跡が残ってあのオカマに･･･」
「誰が、オカマですって？？」
「ひええええええ！！出たあああ！！」
「やだ！カレコ！火傷してるじゃない！」
ドカ！と音が聞こえる、恐らくイデアさんが押されたのだろう。その後すぐ頬に手らしきものが当たり冷たいものが伝わってくる。
「ヴィルさん、これくらい自分で出来ます･･･」
「アンタ、応急処置適当にするでしょ、アタシ、綺麗なものが少しでも傷つくのがイヤなの」
「うっ･･･すみません･･･」
「分かればよろしい。でもこの後医務室私と行くわよ、この根暗とじゃ不安だし」
「い、いやいや拙者その位は･･･」
「火傷に気づいていながら応急処置をしない寮長なんて信用出来ないわ」
「うぐっ！！」
バタンっと音がしたので恐らくイデアさんが倒れたのだろう。イデアさんを手探りで探ろうとしたら車椅子が誰かに動かされた。この動かし方はヴィルさんで間違いない。ヴィルさんは寮長だから新入生達を寮に案内する仕事があるのに、私なんかに構っていたらその仕事を放棄してしまう。
「あっあのヴィルさん、新入生を案内しないと行けないんじゃ･･･」
「あぁ、それならルークがやってくれるわ。アタシがカレコの所に行くと言ったら喜んで送ってくれたわよ」
「いいんですか･･･？」
「アタシが言ってるのだから良いのよ」
ふん、と鼻を鳴らしたヴィルさん。皆が美しいと言っているヴィルさんの顔は見たことが無いけど雰囲気で美しいことが分かる。
「私、ヴィルさんみたいな綺麗な人になりたいです。」
「あら、見えてないのに分かるの？」
「雰囲気でとても綺麗なのが分かります」
「そう、ありがとう。まぁ･･･」
ヴィルさんが私の頬を撫でる。応急処置をしてくれたから、火傷の痛みはほぼない。
「アタシはアンタの美しさも好きよ」
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作者名：とよにか | 作成日時：2020年4月11日 10時
