36話 ページ37
……そういえば、あの時……帰ってください、って言った後に聞こえたあの声…ヴ、と掠れがかったあの声……
Sans…さん、だ…
思い出した……否、逆にどうして今まで気付かなかった?
そして、彼があそこに居た、となると……彼は、Sansさんは、
私の、Torielさんに対する“意思表明”を全て聞いていた……!
「heh…察したか?お前さんを見た後、オイラはまた扉の前で何度も呼びかけたんだぜ?……が、おばさんの声は帰ってこなかった……そして、お前はこうして扉の外へ出てきている…油断させて、殺しでもしたか?なぁ、オイ」
さっと青くなっているであろう私の表情。彼に、隠し事はできなさそうだ……
別に聞かれて困る内容じゃない。私の心からの事をTorielさんに言ったまでだから、別に、彼に聞かれていてもいいんだ。
だけど、何がヤバい、っていうのは…
彼が、私がなぜ外に出てきているか、なぜTorielさんの反応がないのか。
そこの経緯を知らないから!
頬に冷汗が垂れる。
「ちょっと待ってくださいよ…私が彼女を殺した?それなら私が彼女を追いかける理由がないじゃないですか……この発言も嘘八百だとでも?」
声が震える。まれで嘘をついているかのような精神状態になっていて、どうしてだか表情筋がギチギチと固くなっていくのを確り感じた。
でも…そう、そうだ。
彼の前でも何度もTorielさんを追いかけている描写は見せていた筈。彼の目の前で電話だって掛けた……
その、電話の相手が、別の人だと思っていた場合は…?
もし、それすら全部演技だと思われていた場合は…?
どう説明したら、彼はきちんと納得してくれる…?
考える暇はなく、Sansさんの言葉はかぶせられた
「……まぁ、今までの行動は嘘でない事を信じるぜ…でも、お前は出ていく気はないと匂わせる発言をした…で、今現在こうして此処に居る。どんな理由が有れ、疑われる覚悟は持っ貰わないとなな。立派な裏切り行為だぜ?……そもそも、なんでお前がおばさんを追いかける必要がある?」
「それはッ!」
Torielさんを、助けるために。
言葉がぐッと詰まる。思うように声が出なくて喉が空気の音を鳴らしていく。
………私のこの苦痛って、いったい何のため?
「ご馳走様、Grillby」
「……How many times have you walked this place?」
「……Should not listen.heh…The hint is at the beginning of the story…それじゃあ……わかりやすく、このジッポライターで宜しくね」
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いちご飴☆(プロフ) - ダジャレが好きな主人公ですか・・・私もダジャレ大好きです・・・。あ、すっごく面白い作品ですね!作者さんのペースで頑張ってください、応援します! (2022年2月18日 23時) (レス) id: 5f094832cd (このIDを非表示/違反報告)
病蛟(プロフ) - らぁーゆさん» 今回ばかりは流石に予想していなかったので正直戸惑いましたがなんとか投稿させて頂きました。お待たせしました (2022年2月5日 1時) (レス) @page19 id: a53994f60f (このIDを非表示/違反報告)
らぁーゆ(プロフ) - うわぁぁ!とても最難なことが起こりましたね💦深夜まで待っております! (2022年2月4日 20時) (レス) @page17 id: ebbeaa48a3 (このIDを非表示/違反報告)
病蛟(プロフ) - うまさん» そう想っていただけて幸いです。引き続き楽しんで頂けるよう更新の方頑張って行きたいと思います故…どうぞよろしく御願いします (2022年2月4日 17時) (レス) id: a53994f60f (このIDを非表示/違反報告)
うま - この作品すきなので更新頑張ってくださいっ! (2022年2月3日 20時) (レス) @page16 id: 0cf6b27ac1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:病蛟 | 作成日時:2022年1月16日 15時