2話 ページ3
身体全体に響く痛みに目が覚ます
結構な高度落ちたはずなんだ、死んでしまっても可笑しくはないのに、こうして私の心臓は今も尚動き続けている……
「…皮肉かよ」
所々に大分大きな擦り傷と痣だ。骨は……折れてない。
折れなくて済んだのは不自然に敷き詰められているこの金色の花のおかげだとでも言うのだろうか
「……あッ、私のバッグ」
少し遠い所に投げ出されている状態の私のバッグを急いで回収して中身を見る。
幸いなことに、中に入っていたパソコンも無傷。入社祝いで買ってもらっていた名刺入れも、使い古したボロボロのままで、ぶっ壊れてはいなかった。
天を見上げれば遥か遠い所に、落ちてきてしまったであろう場所が見える。薄く日光が差し込んでいるのが少し心地いい。
「成程。こうやって落ちてしまう可能性があるから、二度と戻らない、なのね」
にしても、それにしても、だ。
「アノ高さから落ちてしまって死ねていないのは想定外……こんな死に損ない……生きてていい事なんて、」
怪我の所為か現状の所為か、ガンガンとする頭を軽く押さえて立ち上がった。付着した綺麗な花の粉を落として、不思議と奥に繋がっている道なりに歩を進めた
……が、
ふわりと香る花の香りに一瞬足を止める。
この花の匂い、確か母さんが好きだった紅茶の……
「金鳳花?…バターカップとも…」
少し懐かしく思えて一輪取ってバッグに差し込んだ。母さんが隣についてくれているみたいで安心した気分になれた。
「あら……子供…?」
道を進んでまた日の光が差し込み、ほんの少しの緑が形成されている場所で、優しい声が響いた。
声の主はまだ暗闇に居て私には姿は見えないけど、絶対女性だ。
…でも、こんなところに住んでいる人なんて、常識人では無い事は確かなこと。少しの恐怖と好奇心を持ち合わせて、足は竦んで動こうとはしてくれなかった。
「……子供、というにはあまり小さくは無かったわね、ごめんなさい。私はトリエル…この遺跡の管理人です。」
ゆっくりと出てきた女性…は、私なんかよりも頭二つ分ほど大きくて、小さな角と大きな白いたれ耳。ゆったりとした服から見える手と足は明らかに人間のソレではなく……
「……すッ……すみ、ませ……」
「……怖がらせてごめんなさい……安心して、危害は加えないわ」
自分の口からでた震え混じりのか細い声も確り聴きとってくれた彼女はTorielさん、というらしい。
困ったように笑う彼女は私を招き入れてくれた。
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いちご飴☆(プロフ) - ダジャレが好きな主人公ですか・・・私もダジャレ大好きです・・・。あ、すっごく面白い作品ですね!作者さんのペースで頑張ってください、応援します! (2022年2月18日 23時) (レス) id: 5f094832cd (このIDを非表示/違反報告)
病蛟(プロフ) - らぁーゆさん» 今回ばかりは流石に予想していなかったので正直戸惑いましたがなんとか投稿させて頂きました。お待たせしました (2022年2月5日 1時) (レス) @page19 id: a53994f60f (このIDを非表示/違反報告)
らぁーゆ(プロフ) - うわぁぁ!とても最難なことが起こりましたね💦深夜まで待っております! (2022年2月4日 20時) (レス) @page17 id: ebbeaa48a3 (このIDを非表示/違反報告)
病蛟(プロフ) - うまさん» そう想っていただけて幸いです。引き続き楽しんで頂けるよう更新の方頑張って行きたいと思います故…どうぞよろしく御願いします (2022年2月4日 17時) (レス) id: a53994f60f (このIDを非表示/違反報告)
うま - この作品すきなので更新頑張ってくださいっ! (2022年2月3日 20時) (レス) @page16 id: 0cf6b27ac1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:病蛟 | 作成日時:2022年1月16日 15時