【UnderTale】死亡志願で山に入ったら地下世界に落ちてしまった

１０話 ページ11

バタースコッチシナモンパイを食べ終わり、私が申し出て現在皿を洗っている。
誰かに頼るっていうのも必要だけど、頼りすぎる、っていうのはあんまり良いこととは言えない。仮に、本当にここで暮らす事になるなら、猶更のこと。


今まで大学に行って会社に入り、ずっと一人暮らし。両親に最後にあったのだってもう何年も前の事だ、誰かと一緒の生活なんて……思い出す限りではx年も前。
しかも、最近は会社に篭ってばっかりで、あんまり家にすら帰れてなくて…死ぬ前に、遺書だけおいて出てくんじゃあなくて、部屋のお掃除少しでもすりゃ良かったかも。



私は、Torielさんの「仮同居人」になるつもりはあっても、「ヒモ」になるつもりは微塵もない。
ヒモに成り下がったらサイテーなクズにでもなった気分だ。私は…もう社会底辺だけど、これ以上堕ちたくない


口腔内をベロ、と舐めれば微かに残るパイの甘味が舌先に襲い掛かる。
会社であんな対応受けていた私からしてみれば、この優しさたっぷりのパイなんてゲロ甘だ。いや、美味しいのだけどね？


フツーの愛情が詰まったフツーの生活。それが今の私には甘ったるくて仕方ない。
「早く、慣れないと彼女が可哀想」

知らず知らずのうちに呟いていた言葉は水道の音によってかき消されてしまった。





拭いて、重ねる。そして戸棚にしまう。
単純作業は好き。何も考えなくても済むから。


ぴっと手についた水滴を払う。
改めて遺跡の構造と家を思い出せば、一人で住むには大きすぎる。
どのくらいの間、彼女が一人で此処に住んでいたのかは知らないけれど、とても寂しそうに思えてしまった。特段同情するわけでもないけど、私とどこか似ている気もした。


皿を洗い終えた頃には、Torielさんはリビングにいなかった。何も言われていないけれど、遺跡か自室だろう。むしろ他に行く所は、ほぼ無いと言っても過言ではないだろうし
そう考えると、遺跡は狭く感じるのは少し不思議だ。






「そういえば、」
自室より少し奥。……1個は「改装中」の文字。もう一個は……

「ん、やっぱり。彼女のお部屋だ。」
ドアにかけられているネームプレート。様子を伺うよう、ほんの少しだけ扉を開けて中を覗き込んだ。やはり、Torielさんはいない。

ふと眼についたのは、彼女の机の上にある日記帳のようなもの。
「『スケルトンはなぜ友達が欲しかった？＿＿＿寂しさがホネみに染みたから。』……ややぁ、天才かな？」



センスは似通っているのかも

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