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Aと同じ車両に乗ったはいいものの、心臓の動機は治まるどころか速さを増している。
伏し目がちの彼女は本屋にでも寄ったのか、ヒノキブックスと書かれた緑色のビニール鞄を腕に持っていた。
見ていられる距離は遠いなと、思う。彼女のきゅっと真横に結ばれた唇が愛しい。
あの口で紡がれる言葉は、俺を強くした。慰めや叱咤、激励、全てが懐かしく思えた。
後頭部を扉にあずける。
肩の力が次第に抜けていく。終わりにしよう。互いに別の道を歩んでいくとしても、初恋はきれいなまま思い出にしたい。
プラットホームの雑踏をかきわけ、俺はAの名を呼んだ。
*
「A！」
振り向くと、私のけして好きではないアイツの顔があった。今日は少し表情に澱みがないように見える。 上から塗りつぶした嘘の笑顔はどこに置いてきたんだろう。
すっと急速に冷めていく思考が脳みそを動かす。
何も話すことはないよときびすを返すが、しつこい。腕を強く掴まれて、あっという間に先を行く。
「話したいことがずっと前からあった。」
「私はない」
「聞いてほしいんだよ」
「………やめて」
足の長いアイツはぐんぐん知らない街を歩いている。私はほとんど引きずられるようについていく。
とうとう人がいないところにつれてこられて、静かに片腕を解放された。
「前はごめん、ガキみたいなことして」
いつもつんと上を向いているアブの鼻は、前髪に隠れて見えない。急に謝られて驚いた。
「……何考えてるのかさっぱりわかんない」
「昔さ、かくれんぼしたとき、見つけてくれてありがとう」
「え？」
私は見た。アブの頬に伝う、なんだかいやに水っぽいの。
「狭くて暗くて、寒いとこに隠れてた俺を、お前が……」
ずっ、と鼻をすする音。声をつまらせ、咽るように泣くアブが、昔のアブくんと重なった。
君がいた。私の中にはいつも君がいた。
『Aちゃん！』と慕ってくれるのが嬉しくて、アブくんのことも大好きだった。
「………そんなに簡単じゃないよ」
私はアブの冷たい指先にそっと触れる。目元の赤い泣き虫なアイツは、それだけでも嬉しそうに笑った。
*
せめて胸を痛めて [蘭たん]→←角恋慕２ [チームTAKOS]
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サラ - うおおおキヨさんんんん!!私のリクでしたか！ありがとうございます！もうすぐで完結しちゃうんですね…ちょっと悲しいです(´；ω；`) (2016年5月14日 22時) (
レス) id: 72c8aad68f (このIDを非表示/違反報告)
はちか(プロフ) - サラさん» もちろんそうです！！お待たせしました、すみません（；；） (2016年5月12日 23時) (レス) id: 7bd8392448 (このIDを非表示/違反報告)
サラ - はちかさん» ふわぁぁもしかして私のリクでしょうか、優しく頭を撫でてくれって！例え違っても最高です！私頭撫でられるの大好きなので！続き待ってます！(*^-^*) (2016年5月7日 22時) (レス) id: 72c8aad68f (このIDを非表示/違反報告)
サラ - はちかさん» はい！待ってます♪(○´∀｀○) (2016年4月21日 21時) (レス) id: 72c8aad68f (このIDを非表示/違反報告)
はちか(プロフ) - ソース屋さん» はい！ぜひ！（＾O＾） (2016年4月11日 21時) (レス) id: 7bd8392448 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はちか | 作成日時：2014年11月21日 23時
