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話し終えてからもずっと下を向いてる俺に声をかけたのは志麻君やった。
「別にええんとちゃう?お前は、歌い手のセンラである前に、折原千羅っちゅう1人の男やろ。俺は応援するで、Aちゃん?とのこと」
「志麻君…」
安心させるような声色を聞いて、顔をあげると穏やかな微笑みを見せてくれた相方の名を静かに呼んだ。
「俺もそう思う。センラの会社の新歓の時に見かけて、少し一緒に話したけどな、Aちゃん可愛えし、何よりお似合いやったで!」
「俺も同感。告白して、まぁ先のことはどうなるか分かんねぇけどさ、何かあったら頼れよ?センラには俺達がいるから」
坂田やうらさんも続けてそう言うと、いつものお前に戻れ、crewが心配するぞ、と少し強めに俺の背中を叩く。
じんわり柔らかな痛みからか、受け入れてくれたメンバーの優しさを強く実感したからか、ほんの少し、一筋程頬を伝い落ちそうになった涙を袖で強引に拭い取った。
「痛いな、叩くの止めぇや。けど…ありがとな」
止めろっつっても止まらない手を振り切ってかけがえのない仲間の顔を見据え、お礼を言った。
何度も言っている礼の言葉でも、面と向かって言うのは大切なことなんやなって改めて思ってんけど、やっぱくすぐったいな。
「一区切りついたし夏ツの話し合いしよや!」
坂田はぱん、と両手を合わせ集まった本題へと話題を変えた。
「テーマは_____が良くね?」
「でも、衣装どうなんねやろ」
「それやったら、こうしたらもっと魅力的やな」
「じゃあ、ここはこうで、こっちはちょっと変えたらおもろいわ」
「それなら、皆楽しめるな」
と、色々意見を出し合いながらその都度勘案して21時前を迎えた。
「そろそろ月ラジやな、キャスとYouTube、ツイート準備しよか」
時計をちらっと見て、皆に呼び掛ける。
インフォにした月ラジ始まるよ!ツイートのリツもちゃんとして、crewへ伝える。
「うぽつです!」や、「います!」といったcrewのリプが次々と送られてくる。
そして、21時を少し過ぎる頃。
「放送、開始のすけ」
うらさんの一言で月ラジが始まった。
今日はどんなふつおたとイラストが出てくるんか、楽しみやなぁ。
A、聞いてくれてるかな?
明日彼女の口からセンラの名前が出てこないかな、って期待している自分がいた。
Aに対する募り行く想いと一緒に。
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kne(プロフ) - 感動しました。 続き楽しみです。 (2021年9月28日 20時) (レス) id: ee34aec55d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:奏斗 | 作成日時:2020年2月12日 17時