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「わわ、大丈夫?ねぇお兄さん、ちょっとの間、この子も一緒にいてもいい?」
「俺は構わんよ?というか、こんな可愛い娘2人もおったら両手に花やな」
琴葉がお兄さんと呼ぶ、美少年の甘い言葉で大方場所が分かった。多分、此処は綺羅花だ。しかし、此処で琴葉に会えたのは、ラッキーだったと思い、情報を得ることにした。
「ねぇ、琴葉。此処ってもしかして……綺羅花?」
「そうだよ、なんだかんだ言って来たんだね、A」
お兄さんにぴったりとくっついて私の問いかけに答える琴葉。ていうか、友人の前で密着しすぎじゃない?なんかお互い、腰に腕回してるし!
そんなことにはお構いなしという風に琴葉は私に質問をぶつけてくる。
「Aはどうやって来たの?チケット持ってなかったじゃん?」
え、と呟きながらお兄さんが私を見た。その反応で思い出した。綺羅花はチケットがなければ店の入店はおろか、街に入ることもできない。私が来た方法、それは__
「頭に葉っぱを乗せたたぬきを追いかけてたら、ここに来ちゃったの」
「たぬき?あんな都会で見ないでしょ、しかも頭に葉っぱ乗せてるとか」
その会話を聞いていたお兄さんが、目を見開いて、私に質問してきた。
「お嬢さん、もしかして耳にほくろ有る?あと、差し支えなければ首筋を見せてほしい。」
このお兄さんが特に、悪人とも見受けられないし、むしろ動揺しているようだったため、私は、いいですよ、と了承した。
「お嬢さん、気に障ったら言うんだよ、失礼。」
お兄さんは、私の耳を念入りに観察する。そして、耳たぶにほくろを見つけると、私の髪を掬い取り、首筋を見始めた。掬い取られる時のするっとした感触がくすぐったかった。お兄さんはずっと、黙りこくっていたが、ポツリとやはり……、と呟いた。
神妙な面持ちのお兄さんを見て、琴葉が冗談やめてよ、と口から零す。そして、私の首筋を見て、
「A!……Aの首筋、♡の模様が出てる。」
「え……何で、昼間見たときはなかったよね?」
琴葉がこくりと頷くのを見て、さらに頭が混乱してきた。どうして、私なの?頭の中でひたすら自問自答を繰り返すものの当然答えは見つからない。唯々、疑問符だらけの頭を抱えていたその時__
黄色い歓声が上がった。
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奏斗(プロフ) - ハクトさん» コメントありがとうございます!頑張ります!これからもご愛読のほど宜しくお願いします! (2020年1月9日 22時) (レス) id: 71101c4384 (このIDを非表示/違反報告)
ハクト(プロフ) - コメント失礼します!とても面白いです!更新頑張って下さい、応援しています! (2020年1月9日 21時) (レス) id: 9248964edc (このIDを非表示/違反報告)
奏斗(プロフ) - 名無し16825号さん» ありがとうございます!!そう言って頂けてとても嬉しいです!これからもご愛読のほど宜しくお願いします! (2020年1月9日 18時) (レス) id: 71101c4384 (このIDを非表示/違反報告)
名無し16825号(プロフ) - コメント失礼します!好みにヒットしました!これから頑張ってください! (2020年1月9日 17時) (レス) id: 8fbf982787 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:奏斗 | 作成日時:2019年12月31日 23時