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暫く走ったその先に一際大きな日本家屋、いや、屋敷が見えた。掲げられている看板には《浦島坂田船》の文字があった。

奥の座敷に通されて待つように言われた。

……暇だな、スマホを片手に漫画を読む。

「待たせたな、ってまだ誰も来てねぇのかよ。」

志麻さんが首を掻きながらやって来た。花魁道中の時とは違い、少しラフな装いとなっている。

「お前、何やってんの?」

……話しかけられた。どうしよう。漫画読んでるって言って内容を聞かれても、答えるのは避けたい。

私が返答に困っていると、志麻さんは溜息をついて此方へ近づいてきた。

「無視すんなや、悲しなる。」

と言って、私のスマホを取り上げて画面を見つめる。

へぇと呟き、志麻さんは片方の口角を吊り上げる。

その瞬間__。








私の視界には一面天井が写る。そして、志麻さんが上から覗き込んでいる。

組み敷かれた、そう理解するのに時間は掛からなかった。

「こういうこと、されたいんや。」

志麻さんは、ニヤニヤしながら言ってきた。その瞳に顔を真っ赤にした私が写っている。

「されたいというか……憧れていたというか……」

しどろもどろになりながらそう答えると、そっかそっかと、私のスマホを弄る。

すると、何かを見つけたのかスマホをじっと見つめる。

スマホの電源を切り、私の手の届かない処へ置く。

「返してください!」

「俺のこと、見てくれるなら返したる。」

そう言うと、志麻さんは自身の手から肘までを床に付ける。

お互いの身体がさらに密着する。

もう片方の手で私の髪を掬い、その髪に唇を落とす。

ふっと顔を上げて優しい笑顔で呟いた。

「さっきも思ったけど、お前の髪、ええ匂いするよな。」

そう言うと、志麻さんは再び髪に口付けた。

ちゅ、というリップ音がわざとらしく鳴る。

「髪の長さは、俺的にはもうちょい短いほうが好みやけど、お前にはこれ位がええかもな。ん〜、もっと嗅ぎたい。」

私にお願いするわけでもなく、そのまま覆いかぶさってくる。けど、志麻さんは私に負担がかからないようにしてくれる。

「……え、あ……うぅ」

恥ずかしさのあまり、私が口をパクパクさせながら言葉にならない声を出していると、その様子を見て更に攻めてくる。

「髪だけやないな、お前自身がいい匂いなんや。」

肩に顔を埋めながら志麻さんは呟く。その声に吐息が混ざっていて、私の首を攻撃する。

「俺等ならあの漫画以上のこともお前が望みさえすればやるで?」

志麻さんが私の耳元で囁いた、まさにその直後__。

「……おい、何してんだよ。」

*→←*



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奏斗(プロフ) - ハクトさん» コメントありがとうございます!頑張ります!これからもご愛読のほど宜しくお願いします! (2020年1月9日 22時) (レス) id: 71101c4384 (このIDを非表示/違反報告)
ハクト(プロフ) - コメント失礼します!とても面白いです!更新頑張って下さい、応援しています! (2020年1月9日 21時) (レス) id: 9248964edc (このIDを非表示/違反報告)
奏斗(プロフ) - 名無し16825号さん» ありがとうございます!!そう言って頂けてとても嬉しいです!これからもご愛読のほど宜しくお願いします! (2020年1月9日 18時) (レス) id: 71101c4384 (このIDを非表示/違反報告)
名無し16825号(プロフ) - コメント失礼します!好みにヒットしました!これから頑張ってください! (2020年1月9日 17時) (レス) id: 8fbf982787 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:奏斗 | 作成日時:2019年12月31日 23時

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