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うらたside
「はい、今日は、俺たちの花魁道中にお集まり頂き、有難うございます。《浦島坂田船》の花魁兼店主うらたです。」
俺達は舞台上で軽く挨拶と自己紹介を終わらせ、トークを始める。俺たちのトーク会ははっきり言って、カオスな時が多い。けど、観衆はそれを笑顔で聞いてくれるから、ついついそのまま進めちゃうんだよなぁ。観衆に恵まれていると思う。
お便りを読んで、それに関する話題について話すのだが、今日はいつもより楽しく感じた。まぁ、憂鬱なのは、衣装を着て歩いてるときだけだから、動かなくてもいいトーク会はさながら天国のようだ。
「じゃあ次のお便りをまーしぃ!お願いします!」
前のお便りについて語り尽くした所ところで坂田が呼びかけた。
「はい!それでは、次のお便りです!『遊郭《浦島坂田船》の皆様、こんにちは。皆さんは、花の名前になぞらえて呼ばれているときがありますね。それぞれの花についてどんな思い入れがありますか?良ければエピソードなどを聞かせてください、よろしくお願いします!』とのことです。」
「えっと、うらさんが菊、志麻君が薔薇、坂田が桜、俺が百合でしたねぇ。うらさん、何か思い入れあります?」
センラが確認したうえで俺に問いかけてきた。俺が菊を好む理由ねぇ。何かあった気がするんだけど、肝心の部分が思い出せない。
暫くえ〜とか言いながら考えてみたけど、思い出せなかった。とても重要なことだったはずなのに何でだろう。仕方なく、とってつけた答えで誤魔化すことにした。
「え〜、俺はですね、なんか昔から和柄後好きで、菊をモチーフにしたものを見ると、あっ、良いなって思うんだよね。というのが1つ。」
……あっ、口が滑った。すぐさま、坂田にもう1つは?と突っ込まれてしまった。
誤魔化そうと思ったのに……。観衆に舌打ちをする姿はあまり見せたくなかったから、心の中でチッと舌打った。
まぁ、今のは自分に完全に非があるな。俺は意を決して正直に言うことにした。
「もう1つは、俺が菊を好むたぶん決定的な理由に絡んでいるんだろうけど、肝心なところを忘れちゃって……。」
「まぁ、あるよな。重要だったはずなのに忘れてもうたって。」
まーしぃナイスフォロー!
そんなこんなで、トーク回も無事終わりそうな頃、俺は胸が高鳴っていた。
とうとう言うのか、睡蓮の姫君……どうかいてくれ。
「今日は、本当に有難うございました!」
俺はマイクを持つ手に力を込めた。
うらたside end
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奏斗(プロフ) - ハクトさん» コメントありがとうございます!頑張ります!これからもご愛読のほど宜しくお願いします! (2020年1月9日 22時) (レス) id: 71101c4384 (このIDを非表示/違反報告)
ハクト(プロフ) - コメント失礼します!とても面白いです!更新頑張って下さい、応援しています! (2020年1月9日 21時) (レス) id: 9248964edc (このIDを非表示/違反報告)
奏斗(プロフ) - 名無し16825号さん» ありがとうございます!!そう言って頂けてとても嬉しいです!これからもご愛読のほど宜しくお願いします! (2020年1月9日 18時) (レス) id: 71101c4384 (このIDを非表示/違反報告)
名無し16825号(プロフ) - コメント失礼します!好みにヒットしました!これから頑張ってください! (2020年1月9日 17時) (レス) id: 8fbf982787 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:奏斗 | 作成日時:2019年12月31日 23時