【APヘタリア】夕暮れの街角で【米】

episode28. 笑顔 ページ32

ガヤガヤとにぎやかな声が下から聞こえる。

それに反して静かでうす暗い部屋で、アルフレッドさんに抱きしめられている。


A「アルフレッドさん…？」

アル「うん、分かってる。さっき出会った男に抱きしめられてるんだ。嫌なら振りほどきなよ…」


A「そ、そんな…」

ずるい。

ズルい聞き方だ。

アル「髪の毛サラサラだね…綺麗」


耳元に響く声は麻酔のように痺れる


高子「Aちゃ〜ん？」


高子さんの呼ぶ声で、ハッとしたようにアルフレッドさんはおもむろに立ち上がり

アル「す、すまないね！HAHA…何してんだ俺…びっくりさせちゃったね、はは…戻ろうか」


と、少し悲しそうな顔をし私にそう言った。私は「はい」としか言うことが出来なかった。


その後、リビングに戻り高子さんに窒素ガスボンベを渡し、席に座った。


アル「あ、連絡先教えてよ」

A「あ、そ、そうでしたね！」



まだドキドキして声が上擦る。




連絡先をお互いのスマートフォンに打ち込んでいると

フェリシアーノさんがおもむろに立ち上がり



フェリ「わーー！ベッラと連絡先交換してる〜俺もした〜い！」


と自分のガラケーを取り出しこちらへやって来た。



その言葉でワラワラと皆さんが集まりだし、皆さんと連絡先を交換し合うという事になった。




高子「交換会は終わったかしら？」


と、その言葉に反応し振り返ったら高子さんは片付けを始めていた。


A「あっ！手伝います！」


高子「なんでよ、皆さんと話してらっしゃいよ」


A「い、いえ、手伝いたいので！」


高子「そう…。」


手伝いでもしていないと思い出してしまう。


まだ抱きしめられた時の感触が身体に残っている。




「……ちゃん」





「Aちゃん！」


A「は！はい！！！」

勢いよく振り返ると



アル「だ、大丈夫かい？」


アルフレッドさんだった。


A「アッ…アルフレッドさん……！だだだ、大丈夫です！すいません……。」


アル「疲れてるのかい？」


A「いえ、そんなことないですよ！ほんとに、ええ。」


アル「ごめんね…驚かすような事してしまって…。」


A「いや、あの驚いたのは驚いてしまいましたが、その。嫌ではないので！」


私の頭に手を乗せ

アル「っ…。そうかい！ならいいんだぞ！土曜日楽しみにしててくれよ」

と、言い私に笑顔を向けた。

A「あっはい！」

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