この声が届くならば 《2》

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「んん、あー、あー」



イヤモニからきこえてくる音楽に合わせて少し歌ってみる。


何度経験しても飽きることのない、高揚感。





いつもは4人で味わうその高揚感だけど
今、俺のまわりに3人はいない。






＊






遡ること2ヶ月前、
俺が全ての番組や雑誌に復帰したあの日


俺たちNEWSの、ライブツアーが決定した。




それは、本当に急だった。


今までにないくらいのスピードでのアルバムのレコーディングに、

落ちてしまった筋肉や体力をもとの状態に近づけるためのトレーニング。





精神的にも肉体的にもきついはずなのに、
楽しくて仕方なくて。

“ あの日 ” の、もっと前のような
幸せな毎日を、過ごしていた。






＊






今日は、俺たち4人とスタッフさんやらで
ツアーファイナルをむかえる予定の東京ドームに来ている。



下見を兼ねての早めのリハーサル。

その場で、俺は






サプライズをすると、決めていた。







「ごめん、トイレ行ってくる」

「うん、行ってきな」


4人で座席側に行こうとしたところで慶ちゃんにそう言って、3人から見えないところまで移動する。




いたずらを仕掛けるときみたいなワクワクした気持ち。少しの不安。


……でも、大丈夫。

だって、途中つまずいたってここまで走って来られたでしょ？






3人がアリーナ席まで来たタイミングで、曲を流してもらう。俺が歌う。

合図なし、リハーサルなしのぶっつけ本番。





正直、成功する自信はある。

それに、どんなに難しくたって





この声は

どんな俺も受け止めてくれた、
あの3人に、届いて欲しいんだ。






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