この声が届くならば 《2》

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涙でどんどん視界がぼやけていくのに、
頭はクリアになっていく。その分、こんな最悪な状況にしてしまった自分に嫌気がさす。



なに、揺らいでるんだ。


今、俺が気にするのはそれじゃない。
みんなにどう思われるかなんて、もうこの際どうでもいいから。



……ほんとは全然よくないけど、でも、


俺がしなきゃいけないのは、“ いつも通り ” の手越祐也でいること。

そして、NEWSに還元できるような仕事を頑張ること。それだけ。





あれは夢だ。そんなこと、わかってる。
30にもなって夢と現実を混同してパニックになるなんて。

あれは夢だ。確かに夢だ。
だって、優しい慶ちゃんが、まっすーが、シゲが、あんなこと言うはずない。


ここまで迷惑をかけても大丈夫だよって笑ってくれるみんなのあの笑顔は、きっと嘘じゃない。




でも、優しいからこそ、わからなくなるんだ。

何が本当で、何が嘘なのか。
嘘しかついていないのか、嘘なんてついていないのか。


嘘じゃないって確信めいたものだってあるのに、
どこかで信じられない自分がいる。

俺が優しいみんなを信じられないのに、
みんなが俺を信じてくれるわけがない。




心の中を、見てしまった気がして。
本音を、聞いた気がして。



ほらまた、
無理すんなとか、我慢するなとか。


どうしてそんなに、優しくするの？
やっぱり、俺が弱いからなの？


面倒な今の俺を、
面倒じゃない俺にするため、なの？




みんながそれを望むなら、頑張りたい。
頑張れる。食べたいし、無理だってできる。




「、っ、できるよ……」


みんなが “ それ ” を望むなら、
なんだって、やってみせられるのに。





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