【03】ふぶき姫(女主) ページ8
冷たい。この部屋もそうだが、私の腕についた凍った手錠が冷たい。
「うふふ…冷たいでしょ?でも大丈夫よ。死なない程度にしてるから」
私を見下ろす姿。水色の着物、青色の髪、そして水色の髪留め。
永遠に溶けない氷で出来ているらしい。
そう、彼女の名前は「ふぶき姫」。「ゆきおんな」が水色の髪留めをつけたことにより進化した姿。
氷の力を制御できるようになったらしく、夏に雪を降らせたり、火山を雪山に変えることも容易い。
「寒い…」
体に襲いかかってくる寒さに耐えながらやっとのことで言葉を絞り出す。寒い、寒すぎる。
心なしかさっきよりも部屋の温度が下がった気がする。
歯はガチガチと硬い音を立て、腕や足にはぷつぷつと鳥肌がたっている。
この空気は、私を凍死させる勢いなのかもしれない。
「あら?そんなに寒いのかしら?」
ふぶき姫はニコニコと笑いながら私を見るが、その笑みは普段の可愛い笑みではない。
「…どうして…こんな寒い…ところに…閉じ込めるの…?」
寒くて言葉が出にくい。身体中の鳥肌が、だんだん身震いに変わりだす。
ふぶき姫はクスクス笑って答えた。
「時雨が悪いのよ?話しちゃダメって言ったのにそれを破るから」
寒さに震える中、私は思い出す。ふぶき姫になぜか「話しちゃダメ」と言われていた日のことを。
しかし、私はそれを破ってしまった。
ふぶき姫が作ったルールを、私は無視して椿姫や百鬼姫と話してしまったのだ。
ふぶき姫の周りから椿姫や百鬼姫が消えたのも、ふぶき姫から血生臭い香りがするのも、全部私が招いた結果だったんだ。
ルールを守っておけば、こんなことにならなかっただろうに。自分の愚かさに、泣きそうになる。
それを察したのか、ふぶき姫は口を開いた。
「怖い?寂しい?そうでしょうね。でも安心して?私がずっといるわ…」
ふぶき姫の声は吹雪のように冷えていた。
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はるる(プロフ) - アンデルさん» こちらもすみません…。 (2019年8月20日 19時) (レス) id: b6dcafd39c (このIDを非表示/違反報告)
アンデル - はるるさん» 分かりました。すみません! (2019年8月20日 19時) (レス) id: a7d0104287 (このIDを非表示/違反報告)
はるる(プロフ) - リクエストしてくださったアンデル様、大変申し訳ございません。シャドウサイドは書かないことにさせていただきました。 (2019年8月20日 18時) (レス) id: b6dcafd39c (このIDを非表示/違反報告)
黒羽 涙(プロフ) - 呪華さんのイラスト描きましょうか……? (2019年8月18日 0時) (レス) id: b1fb6ddaa1 (このIDを非表示/違反報告)
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