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ケーキの包装が終わり、彼女から渡される。手元に来た美味しい匂いに惑わされながらも「ありがとうございます」と返した。

君はニッコリ微笑むと、また来てくださいね、と言って手を振る。そんな君と別れたくなくて。もっとそばにいたくて。少しでも君の記憶に残れたらなって……いつの間にか君に声をかけていた。


「あのっ!少しお話しませんかっ?」


少し驚いた顔の君は、コテンと首を傾げたあとちょっと待っててください!とだけ残し、店の奥へと消えていった。一気に緊張が抜け汗が滴る。

どんだけ緊張してんだよ僕。

そんな情けない自分に苦笑が込み上げてきたが、変な人に見られてしまうので堪えた。ふと時計を見るとお店に来てから5分近くしか経っていなかった。

でもその5分が、多分僕にとって一生の思い出になるんだろう。そんなことを考えながらぼけーっと待っていると、ドタドタとお店の奥から足音が聞こえて来た。


「待たせてしまいすみません。お話しましょ!」


ふわりと笑うと同時に甘い香りか漂う。その香りに脳をドロドロにされそうになるが、頭を振ってはい、と返事した。近くにあったテーブルの椅子に向かい合って座る。早くなる鼓動を抑えながら、口を開いた。


「あの、お名前はなんて言うんですか?」

「日向と言います。日向Aです。」


日向Aさん……。

可愛い響きが僕の身体に刻み込まれる。脳内で繰り返される君の名前。ただ君の名前を知れただけでも僕との距離は、お客さんから一歩近づいた気がした。僕も精一杯の笑顔で自分の名前を口にする。

すると、日向……さんは「カッコいい名前ですね!」なんて褒めてくれた。日頃、名前を褒められる、なんてことは無いから少しの恥ずかしさと、日向さんみたいに素直に気持ちを口に出せない悔しさを覚えた。


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*→←第一章-君との出会い-



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作品ジャンル:恋愛
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りろと - 続き楽しみにしています!でも無理はしないでください。 (2019年10月30日 0時) (レス) id: a9ebcbcf74 (このIDを非表示/違反報告)
梅のの(プロフ) - 静華さん» ありがとうございます!今学業が始まっており、少し更新が出来なくなっていますが、頑張ります! (2019年8月25日 14時) (レス) id: d91553e4d7 (このIDを非表示/違反報告)
静華(プロフ) - とても面白いですね!大変かと思いますが、更新楽しみにしています!頑張って下さい。応援してます!! (2019年8月25日 0時) (レス) id: 3ac6065c1d (このIDを非表示/違反報告)
梅のの(プロフ) - カナリアさん» ありがとうございます!!頑張らさせていただきます!! (2019年8月6日 16時) (レス) id: d91553e4d7 (このIDを非表示/違反報告)
カナリア(プロフ) - 凄く面白いです!更新楽しみにしています! (2019年8月6日 14時) (レス) id: 0cf1c80018 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:梅のの | 作成日時:2019年8月5日 14時

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