お菓子の魔法【るぅと】

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お酒が入った袋をぶら下げながら、スマホを持つ。本当は、さっさと帰りたかったが、莉犬の要望の“甘いもの”を買ってないことに途中で気づき再び歩いていた。

甘いものと言ってもコンビニに売っているものなら沢山ある。でも、せっかくの打ち上げなんだから、贅沢なものが欲しい。

……贅沢なものと言えば“ケーキ”だろう。僕はそれを求めてスマホで必死に近くのケーキ屋さんを探していた。

あ、あった！５分くらいで着くところ。

見つけたお店は、ここから徒歩で行ける近場のケーキ屋さんだった。しかもどうやら最近出来たばかりらしい。結構ワクワクしながらお店に向かって歩く。

近づくにつれ、なにやら甘い匂いが僕の鼻をくすぐった。その甘い匂いを辿りながら歩いていくと僕の目的だった、ケーキ屋さんにたどり着いた。

“L'amour Gateau”か。かっこいい名前。

ガラスから見える店内はミックスウッドの家具が並んでおり、人の気配はしなかった。
恐る恐るドアを開けるとカランカランと綺麗な音色の鈴が鳴る。それに合わせて、「はーい」と奥から綺麗な響く声が聞こえてきた。


♥♥


これが運命だったのかもしれない。

僕よりも低い背に揺れるサラサラの髪。

クリクリの目に赤い唇。


僕は寒い寒い冬の中

甘い香りに誘われて

君に恋をしました。


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