一歩の差 [G.W] (1/5) ページ8
、
足の長い彼は、付き合ってひと月たった今でも、小さな私に合わせてはくれない。
彼が一歩を踏み出せば、私は二歩、下手したら三歩踏み出さなければ間に合わない。
「待って、」と言っても、ずいずい歩いていってしまうのだから、私は困ってしまう。
いつか、彼にどうして待ってくれないのかたずねたことがある。
そのとき彼は、羊皮紙から目を離さず、鬱陶しそうにこう言った。
「僕には僕の時間があるんだ。きみが勝手についてきてるんだから、わがまま言うなよ」
もっともだった。
フレッドくんは私に優しいのに、ジョージくんは冷たい。
そうフレッドくんに相談したことがあったけれど、彼は吹雪のように冷たさを打ち付ける瞳で淡々と言った。
「じゃあ、僕じゃなくってフレッドにしたら？ フレッドのほうが、僕より優しいんだろ？」
(違う。そうじゃない。そんなことを相談してたんじゃない。)
ただ、どうすればジョージくんに笑ってもらえるかを相談していただけだった。
どうしたら冷たくされないか、それだけでも聞き出せないかとたずねていただけだった。
それなのにジョージくんにそういわれ、思わず泣き出してしまったことがある。
泣いた私を見ても、ジョージくんは面倒くさそうに顔をゆがめて、
「ほら、僕は優しくないから、きみなんて慰めないさ」
そう言って部屋へ戻ると、その日は談話室へ戻ってこなかった。
次の日の朝、目を真っ赤にした私を見て、
珍しく朝早くにいたフレッドくんが温めたタオルを差し出してくれたのを覚えている。
申し訳なさそうに眉を下げていたけれど、私にタオルを渡すと、自分の部屋へと戻ってしまった。
私は前日のことがありながらも、ジョージくんのことが好きで、
朝の習慣である一緒に大広間へ行く、ということは怠らなかった。
降りてきたとき、ジョージくんは私を見ると、一瞬じっと私の目元を見ただけで、何も言わず通り過ぎていった。
フレッドくんは眠たそうにあくびをして、おはようと言ってくれた。
過去にこんなことがあっても、私はジョージくんが好きだ。
結局は顔、と思う人がいるかもしれないけど、私はジョージくんの内面が好き。
これだけは自信を持っていえる唯一の事象だ。
→
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あきは(プロフ) - ユウさん» 初めまして、コメントありがとうございます。パスワードについてですが、当作品の説明欄にリンクと共に載せておりますので、お手数ですがそちらをご確認の上ご入力ください。ぜひ楽しんでいただけたら幸いです。 (2022年7月7日 23時) (
レス) id: e573973469 (このIDを非表示/違反報告)
ユウ(プロフ) - はじめまして、主様の作品を楽しませて頂いてます。フラワーバースの方も是非読みたいです。パスワードお願いします。 (2022年7月7日 22時) (レス) @page17 id: 8f5ef5ab64 (このIDを非表示/違反報告)
藍薇(プロフ) - はじめまして、主様の作品どれも素敵で何度も読ませて頂いています。フラワーバースの方もぜひ読みたいです！良かったらパスワードを教えていただきたいです🙇♀️ (2022年3月13日 11時) (レス) @page43 id: ea0f6320a6 (このIDを非表示/違反報告)
ラージ(プロフ) - はじめまして。どの作品も楽しませていただいております。兄妹のお話気に入りまして、フラワーバースのパスワードを教えていただきたいです。よろしくお願いします。 (2022年2月19日 20時) (レス) @page17 id: dcf731a749 (このIDを非表示/違反報告)
みゆみゆ(プロフ) - はじめまして、主様のお話とても面白く大好きです！フラワーバースの方も是非読みたいです！！パスワードを教えていただきたいです。よろしくお願いします (2022年1月10日 0時) (レス) @page17 id: 205cd56e43 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あきは | 作者ホームページ：
作成日時：2017年11月23日 12時
