もしもし冥途ちゃん！【文豪ストレイドッグス】

お願い事 ページ4

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『 誰か助けて、！ 』






「 五月蝿い！動くなよ、誰も動くな！ 」








大きな目から涙をぽろぽろと零し、助けを誰かに乞う女。それを後ろから首元を引っ張り銃を突きつけ黙らせる男












「 いいかお前ら…妙なことをしてみろ！この女の脳天ぶち抜いてやるからな…！ 」






『 ひ…っ 』








首を絞められ、こめかみに銃を当てられた女……それは冥途Aであった。これが太宰からの″お願い事″である








『 悪者役の谷崎さんに捕まれ？ 』






「 はい！ 」








それは数刻前。太宰の命を受け武装探偵社へやって来たA。知り合いだらけの場所はなんとも居心地が良かった


お目当ての人物はすぐ近くにおり、事情説明を求めるため話しかけるA。そんな彼女の背後に迫る謎の女……谷崎ナオミである。彼女の背中にがばっと抱きつくナオミだが当の本人はスルー。これもまた日常茶飯事である。なのでこの際省いておく




そして、先程のAのセリフに戻る








「 新人さんに色々と試したいことがあるそうなので！ 」






『 せ、説明がアバウト…それで、私が谷崎さんに捕まるんです…？ 』






「 はい！ 」






「 本当にすみませんAさん！僕も野蛮なことはしたくないって断ったんですが… 」






「 あら！ナオミだけのせいにするの兄様？Aさんを縛りたい〜だなんて言っ 」






「 わあ！わあーー！ストップストーーップ！！ 」








なにやら言いかけていたナオミを目の色を変えて止めにかかる谷崎潤一郎。当の本人のナオミが嬉しそうに見えたのを、Aはまた見なかったフリをした








『 …わかりました、では谷崎さんよろしくお願いしますね！ 』






「 あッはい！よ、よろしくお願い致しますッッ 」








そして、冒頭に至る








「 やめろ爆弾魔！Aを離せ！！ 」








谷崎とAから離れた扉の付近で国木田が叫ぶ



彼の背後に見える太宰と白髪の男の子。どうやらあのこが例の新人らしい




ふと、例の新人、中島敦とぱちりと目が合った


その瞬間涙で濡れた睫毛を伏せ、再びぽろぽろと涙を流し出したAは、間違いなく今この瞬間、誰よりもいちばん名女優だった












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