本気の恋を教えてくれた人 ページ6
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昼間とはうって変わり、
眩しいほどのネオンが女も男も照らして、
また時間が深まっていく夜の街。
こんな街で俺はホストをしている。
自分で言うのもなんだけど、店のナンバーワン。
関西から出てきたばかりのときは
お金欲しさに働いていたのに
気がつけばナンバーワンにまで上り詰めていた。
この街に俺を知らない人はいないし、
俺より上のヤツもいない。
だからって油断していたら
タカヒロとかアキトとかに抜かれてしまうから、
お客への色々な“サービス”は丁寧にして。
今日も汚いがどうしても嫌いになれない
街の風景を眺めながら、
俺の太客から貰った高級車で出勤した。
店の近くに駐車して、
いざ入ろうとしたら店の前で何やら話し込む男女。
こんな街ならよくある光景で、
いつもなら気にもとめないのに、この日は違った。
男の方がうちの店の下っ端で
相手を困らせていたから指導してやるか程度で
わざわざふたりに近づいたのに。
まさかだった、一目惚れだなんて。
近づいてみたら女はあまりにも綺麗で、
けれどどこか儚くて。
なによりこの場に相応しくない、
いわば純粋無垢な雰囲気をまとった女性だった。
ほかの女とは比べ物にならないほど、
目を合わせるのが少しためらわれるほどに、
心臓をきゅっと掴まれて。
「っ、おい、なにしてんねん」
「ジュンタさん、！」
「この子困らせてるし、
店の品格下がるからやめろや。｣
やんわりと女性の腕を引き、後輩から引き離す。
「もう次はないで」
「ひっ、ご、ごめんなさい！」
慌てて目の前から消えたやつの事なんて本当は
どうでも良くて、ただ彼女と話したいと思った。
「ごめんな、怖い思いしたやろ」
「いや…ありがとうございました、」
鈴がなったかのような透き通った声に
また胸がきゅっとなった。
「あ、このあと時間ある？
お詫びさせて頂けませんか」
「えっと、でも、」
断られるのなんてわかってる。
でも断らせないように話しかけるのが
俺たちの仕事。
「あかん、かな？」
目尻にシワを作って微笑むのがたまらないと
前に客に言われたから、そう微笑んで
掴んでいた腕の力を気持ちばかり強くする。
「…少しだけなら、」
「ほんまに？ほなはよ店入ろ、俺の奢り」
．
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作者名：ぼんぼん。
| 作成日時：2018年10月21日 0時
