【短編集】瓶詰め彼らにこんにちは【m/z;m,n】

あるひのてがみ ページ39

拝啓


春風が心地よく感じられます。
お元気でしょうか、私は元気です。

あの時、私が貴女に彼らを渡したことは偶然では決してありません。
時期は予期していませんでしたが、渡すという事実は変わらぬ、揺らがぬ私自身の意思でありました。



改めまして、雑貨屋【antique・bouteille】の店長です。



こうして改めてお手紙を書かせて頂いたことには理由があります。



まずひとつ。
Aさんへ、私が失踪した理由をお伝えする為。

私は、もう貴女の前へ姿を見せることはありません。それは貴女もうっすら理解しているのではないでしょうか。貴女の考えなら私は手に取るように分かります。



ふたつ。
これからAさんに起こることをお伝えする為です。

上記したように、貴女の前に姿を現す事がもう無いと分かっているからこそ、こうして書かせて頂きました。

これから、貴女のもとに1人の男性が訪れるはずです。その男性は彼らと知り合いであり、彼らを渡してほしいと、そう言ってくるはずです。

渡してしまえば私のように、なるやもしれません。
渡さなければ、どうなるかは分かりませんが、後悔することになるかもしれません。

だから、Aさん。貴女には自分の気持ちに嘘をつかず、素直な気持ちに従って欲しい。






これが、貴女の未来の私からのお願いです。






どうか、貴女が後悔しないように。
自分を消してしまいたくなるほど、追い詰めないように。




それでは、またどこかで。




敬具

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