【短編集】瓶詰め彼らにこんにちは【m/z;m,n】

きゅうにんめ【9-3】 ページ31

5｢お野菜いや！｣
『いろちゃん、食べないと大きくなれないよ？』
5｢いいもん！いろはこのままで！！｣
『はぁ…』



そんなため息が出た夕方5時。



実家から送られてきた野菜で作った料理を皆に食べてもらっている時にそれは起きた。



いろちゃんが、野菜を嫌だと言い始めたのだ。
確かに予想はしていたがこんなに嫌がるとは。



9｢こいろちゃんこいろちゃん｣
5｢きゅーちゃん？｣



ふと、見ると九ちゃんが話しかけていた。



9｢お野菜、食べてあげようか｣
5｢いいの？！｣
9｢うん、その代わり、ズズと仲良くしてね？｣
5｢え…ズーズーと…？｣
9｢うん｣


何その2択…と思ったがいろちゃんにとっては究極の2択らしい。


それを悟ったズズが後ろでギャンギャン言っているが今触れても変わらないのだ。


5｢…お野菜食べる｣

よほどいろちゃんはズズと仲良くなりたくないらしい。

9｢うん、いい子いい子｣


3｢きゅーちゃん！！！いや突っ込んでよ！！ガキもそんなに俺と仲良くすんの嫌かよ？！！｣
5｢いや！！ズーズーとは絶対仲良くなりたくない！！｣

『あぁー、はいはいはい、そこまでそこまで』

そう言ってズズをそっと抱き上げると、ここぞとばかりに｢Aちゃーん！！｣と嬉しそうな声を上げるものだから次からは抱き上げるのはやめておこうと決断するのだ。




それにしても、九ちゃん…




9｢…野菜｣
『何食べたい？』
9｢トマト！｣
『はーい、どうぞ〜』
9｢ありがとう〜！｣


その後ろからこっそり近付いているmegaちゃん。…まさか


6｢…きゅーちゃん！！｣
9｢キャウン！！｣


犬みたいな声を上げて私の後ろに隠れてしまった九ちゃん。


『…犬？』
9｢…性別犬ってことにしといて…｣
『う、うん』


なんとも謎の多い子です。



メモ9

九血鬼
性別犬の子。
見た目、声共に中性的なため、判別がつかない。
野菜、特にトマトが好きらしい。
ぽやっとしているようで意外と周りを見ている子。
いい子。

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