ななにんめ【7-1】 ページ22
ななにんめはオシャレな男の子
you side
『っはぁぁぁ…』
「お疲れですか?」
『うぅ…そうなんですよ、仕事が1ヶ月半くらい忙しくって…此処にも顔出せなくて、すみません…』
「いえいえ、いいんですよ。暇な時に来てくださったらそれで。こちら、どうぞハーブティーです」
『あ、ありがとうございます…いい香り…』
店長はこんな時でも優しかった。
1ヶ月半程前、megaちゃんと仲良くなったとせんたんに言われた次の日くらいからやたらと仕事が忙しくなった。
何かある訳では無いだろうけれど
それが一段落した今日、この夜。
私のこの生活が始まった日の様な状態で此処になだれ込んだのだ。
『…はぁ…美味しい…社畜って訳では無いですけど、これよりさらに忙しいとか私には無理ですね…』
「何をおっしゃいます、Aさんならきっと難しいこともサラッとこなしてしまわれるでしょうね」
ハハ、と爽やかにペストマスクの裏で笑っているであろう店長に、
『いやぁ…そんなこと、無いですけどねぇ…』
と返す。
と、
「そうだ、今Aさんにぴったりの瓶があるんですがお持ちしましょうか?」
『え、いいんですか』
「えぇ、Aさんにだけ、ですよ」
『…いつもありがとうございます』
「お気になさらず」
そう言って奥に行った店長が持って来たのは何やら花や植物が入った瓶、所謂ハーバリウムのようなもの。
「どうぞ。なな湖の瓶詰めです。一ヶ月ほど売れ残っているんですよ。プリザーブドフラワーが一緒に入っているので、インテリアとしてお部屋に飾っていただくのもおすすめですね」
その埃を被った瓶を手に取ると、瓶の中のなな湖くん?は驚いて頭を瓶の内側に軽くぶつけてしまっていた。
megaちゃんとの反応の差に、流石に私もショックを受けていた。
…でも、ここまで来てせんたん達と関わりが無いとは思えないよなぁ。
そう考えたのがわかったのか、はたまた、私の顔に出ていたのか。
店長は1度レジに向かい、そしてまた戻ってきた時にはいつものペンと紙がその手にはあった。
「どうぞ」
『…やっぱり、店長には適いませんね』
「…いずれ、Aさんもこうなりますよ。優しい、方ですから」
そう言って微笑んだであろう店長の声はすこし寂しそうだった。
『…なな湖くん、これからよろしくね』
これがななさんと私の出会い。
ラッキーカラー
あずきいろ
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汀(プロフ) - すぷらさん» こちらも沢山勉強させて頂きました…!!これからも更新楽しみにしています!!応援しています!! (2018年9月26日 22時) (レス) id: b7a2a1a016 (このIDを非表示/違反報告)
すぷら - !!見られていたなんて恥ずかしいです!!汀さんの文から勉強してもっと精進させていただきます!! (2018年9月26日 22時) (レス) id: e340ba7d83 (このIDを非表示/違反報告)
汀(プロフ) - すぷらさん» 返信が遅くなってしまいすみません!とても嬉しいお言葉をありがとうございます!実は私もこっそりすぷらさんの作品を拝見しており、モチベーションを保つひとつになっていました。本当にありがとうございました!!ぜひ次作もよろしくお願い致します!! (2018年9月26日 1時) (レス) id: b7a2a1a016 (このIDを非表示/違反報告)
すぷら - 【追記】 汀さんの作品の更新はもはや私の作品の更新のモチベーションになっていて違う方向でもとても力を貸していただきました(笑)ありがとうございます! (2018年9月24日 20時) (レス) id: e340ba7d83 (このIDを非表示/違反報告)
すぷら - 完結、そして内定おめでとうこざいます。汀さんの作品はとっても素敵で大好きです。これからも汀さんの作品を読ませていただきます。お疲れ様でした。 (2018年9月24日 20時) (レス) id: e340ba7d83 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:汀 | 作成日時:2018年7月16日 20時