【実況者】彼と邦ロックを奏でたら【短編集】 (ページ29)

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雪の降る日に【osmn】 1 ページ29

天気予報に胸がざわつく

オスマンside
今日の夜、関東は雪が降るらしい。
このマークを見ると胸がざわつく。

それは数年前出会ったAという人のせい。

思い返す。雪の降った公園でただ1人でブランコに座っていた彼女を。

薄い緑のパーカーに黄色のマフラーでぼぅと空を見ながら白い息を漏らす。
黒い短めの髪は耳にかけられていてそこからマフラーと同じ色のイヤホンが見える。

目立つ格好なのに

それが何故か美しく見えて

俺は声をかける。

｢こんばんはお嬢さん、そこで何見てるん？｣

綺麗な赤みのかかった目がメガネ越しに俺を捉える。
息を呑む

『別に何も』

彼女が急に立ち上がった
『じゃあまたね、おにいさん』

微笑んで出口に向かう

はっとして出口に向かうも時遅し。
彼女はおらず。名前すら聞けなかったことに後悔を覚える。

でも待てよ、彼女が出て行ってまだ数分。この一本道は曲がり角も障害物(隠れられる様な場所)もない。

なのに消えた。

嫌な寒気を憶えながら帰路についた。