君に送れなかった【zm】 ページ21
明け方の部屋に散らかってる
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ゾムside
俺の彼女、Aは浮気性である。だけどドラマで見るような酷いやつじゃない。少し、“少し”浮気性なだけ。
俺の名前を呼ぶ、Aがよかった。何だか独り占めしてるみたいで。そんなに独占欲は強いほうじゃないと思う。多分
遊んだ帰り、真夜中の線路沿いにふざけて歩いていた。だけど終電に乗るはずのAは『大丈夫だよ』なんていう。
もう1人付き合ってる男がいることはわかってる。だけど俺は何も言わない。
『ゾムを嫌いになったことなんかないよ』って俺の隣で言ったA。だけど俺には『好きじゃない』って言っているように見えて。そうさせるのは腕にあるアザのせいだろう。
彼女の白い肌には俺がつけたものではない黒いアザがいつも見えていた。
そう、それはもう1人の男が付けたやつで。彼女は殴られたりした後は必ず俺の所にくる。逃げ場になっている。
きっと彼女は悪気なんかないだろう。ただ、俺からの一方的な愛がそこにはあった。
と思っていた。
彼女からのいきなりのメール。
『送れなかった、貴女へ。
いつも私を庇ってくれてありがとう。君と一緒に居る時間が永遠みたいで怖かった。心地好かった。だから、そんな貴方とずっと一緒にいるために彼と別れてきます。』
読んだ直後になるインターホン。
玄関にはうっすらと血を流した彼女が泣いていた。駆け寄り抱きしめる。
『好きです、あなたの事が。』
｢わかってる、俺も。｣
(『頑張ってけじめ、付けてきたよ。私はゾムのこと嫌いじゃないって言ったよね？』
｢言っとったけど、あれ、俺のこと好きじゃないって言われてるみたいで嫌やったわ。｣
『…、じゃあ今からそのままの意味だからね。』
｢ん、了解。｣)
リリィ、さよなら。 ｢未送信のラブソング｣より
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作者名：夜薙 | 作成日時：2016年7月30日 20時
