【実況者】彼と邦ロックを奏でたら【短編集】 (ページ20)

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恋の寿命【tn】ページ20

ヴァンパイアの恋人みたいに君といたい。
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トントンside
泣いていた。愛しい彼女が。
俺には見えていた、彼女の心を裂こうとする鋭い爪が。

｢おい…大丈夫か？｣
話しかけるとその手は消え、代わりに愛しい幼馴染みのAの顔が見えた。

『うん…。大丈夫だと思う…。多分。』
そんな辛そうな顔をした彼女の頭を撫でる。そんな顔は見たくない。そんな思いからだった。

彼女は俺を好きだ。恋愛的な意味で。
そんな俺もAが好きで。もちろんこれも恋愛的な意味で。

だけど、想いは通じているのに、恋人という立ち位置にいない。
長年安住してきた幼なじみの立ち位置に慣れすぎたのだ。

2人とも、思っていた。こう思っていた。

いつかねって。いつからって。
愛するってなんだろうって。

俺たち2人はずっと問われていて、だけどその答えは出なくて。

『トントン…？』Aの声。現実に戻される。Aは微笑んで俺を見ていた。

そうだ、俺からこのぬるま湯のような現実を壊さなければ。

｢あぁ、もういいか、なぁ…A。｣
『どうしたの、トントン？』
｢俺な…お前が…

いつか帰る恋の寿命を先へ先へ引き伸ばして。愛しい彼女へ伝えようか。

(彼女が俺から離れていきませんように)

Galileo Galilei ｢恋の寿命｣より