▽ ページ3
わたしの中で、なにか黒いものが蠢いている。
いままで、ずっと我慢させてきちゃったのに、今更手なんて取っていいの？
＿＿＿＿＿＿きっと、よくない。
そんな資格が、わたしにあるの？
＿＿＿＿＿＿ううん、絶対にない。
わたしと付き合って、エースは幸せになれるの？
＿＿＿＿＿＿なれると思えない。
自問自答が、自己嫌悪が止まらない。
それでも、差し出された手を取りたくて堪らない自分の勝手さに吐き気を覚える。
何かがこみ上げてくるような気がして、思わず手で口元を抑えた。
「……ぁーっと、ごめん、困らせるつもりじゃなかったんだけど」
顔色の悪いわたしに気がついたのか、バツの悪そうな顔で頭を撫でるエースの優しさに、すべてをぶちまけてしまいたい衝動に駆られる。
そんな汚い衝動を外に出さないよう、力尽くで抑え込んだ。
こんなもの、この人に見せちゃ、いけない。
「…ｯ、悪い、A疲れてるよな？寮に戻ろうぜ」
送ってくからさ、と一瞬辛そうな表情をしたあと、何も無かったかのように笑う彼に、どうしてこの人はこんなにも残酷なほど優しいのだろうか。と、理不尽なことを思った。
罵ってくれた方が、涙を零してくれた方が、まだ罪悪感を背負えたというのに。
何も背負えないことが、こんなにもキツいことだなんて、夢にも思わなかった。
全部抱え込ませて、ごめん。
その言葉すら出てこず、エースに手を引かれながら涙を流した。
「忘れてくれても、構わないから」
震えていた小さな言葉は、風にかき消されていった。
────────────────────
翌日
『エース…ｯ！！』
ぜえ、はあ、と荒れ狂う呼吸を必死に宥めながら寂しげな後ろ姿へ叫ぶ。
「ｯ､…嗚呼、なんだお前かよ、びっくりさせんなっ、て…うわっ！？」
振り返ったエースの胸に飛び込む。
驚きながらも受け止めてくれた彼にぎゅっとしがみついた。
「えっなにA！？どーしたのマジで！！」
『……あの後、一人で色々考えてみたの
最初は本当にただの嫌な奴で罰則すらサボったりしてたけど』
「突然ボロクソに言うじゃん…」
『でもスカラビアに捕まった時は助けに来てくれたり、今回も相談に乗ってくれたり…』
それがね、すっごく嬉しくて。
ゆっくり、自慢の笑顔で顔を上げる。
『だから、きっとこれは我儘だけど』
『よろしくお願いします、って言ってもいい？』
「……だめなわけ、ないじゃん…」
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
ラッキーアイテム
革ベルト
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 3人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
鬱くん - エ“ーズｳ・・・・・おま…お前ｴ”ッいい子になったなｱｱｱｱｱｱｱ！！！ (2020年10月25日 13時) (
レス) id: 9aa9cc12ba (このIDを非表示/違反報告)
雪華 - 好きなポケモンは何ですか?私はイーブイとワンパチとユキメノコとヒトモシとピカチュウです。 (2020年10月10日 7時) (レス) id: 1286db9797 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：めり | 作成日時：2020年7月9日 17時
