咎人カラムニー！ ページ28
◆
「サクラ……」
凍てつくような視線を向けられ、ジエルは誤魔化し笑いを浮かべてたじろいだ。
「まさか貴様が犯人だったとはな……ジエル･ソリスト。見損なったぞ」
自分より一歳下であるはずの彼から、何か底の知れない冷えた感情が溢れ出しているように感じて、ジエルは何も言えなかった。
「そんな……！！違うんです、サクラさん！！」
「貴様の意見は聞いていない。俺の仕事を増やし続けていた張本人が、うちの副寮長だとは思いもよらなかった」
はぁ、と大げさにサクラがため息をつく。
弁明に入ろうとしたノアの肩に、大きな手の平がぽんと置かれた。
「ジエルさん！！」
「……君は何も言わない方がいい」
これ以上口を挟むと君の首が絞まるぞ、と冗談めかしてジエルは言う。まるでサクラに犯人扱いされる事を、最初から知っていたかのようだった。
「でも！！ジエルさんのユニーク魔法では、他人を眠らせる事なんて出来な――」
「ユニーク魔法を簡単に打ち明けるなんて感心しないな、ジエル。しかも、他寮の生徒に」
「すまなかった」
即座に謝り、さらにジエルはノアに目配せしてくる。これ以上もう関与するなと視線が訴えかけている。
「そもそも貴様は他寮の生徒だ。犯人がライアーグラッド生だと分かったからには、貴様が関わる筋合いはないはずだぞ」
「そんなのって……！！」
「何か不満でも？探していた犯人が見つかったんだ。貴様ももっと喜ぶべきだと思うが？」
あまりのサクラの噛み付きように、ノアは呆然とした。
これがあのサクラ寮長？生意気なタメ口の一年生と他寮のうるさい一年生がアポ無しで押しかけて来て、それでも仕事に追われつつも嫌々ながらに応じてくれたサクラ寮長なのか？
とても同一人物だとは思えない。厳しそうだがリーダーシップのあった頼れる寮長のイメージとは、まるで違う冷徹なサクラがそこにはいた。
「……なんで、ですか？」
「なんでだって？そんなつまらない質問に、俺が答える必要は無いだろう。いずれ教えてやるかもしれないな」
行くぞジエル、話は応接室で聞こう、と。
何のためらいも慈悲もなくノアに背を向けたサクラの後ろを、ジエルは黙ってついていく。
何も言う事が出来ないでいるノアを、ジエルが去り際に一度だけ振り返った。
そして、いつも通りの微笑みとウインクを添えて、こう口パクしたのだ。
『さ･く･ら･を･た･す･け･ろ！』
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リリコス(プロフ) - おぉ!! (2020年8月10日 23時) (
レス) id: d250400d1f (このIDを非表示/違反報告)
くろーさぎ(プロフ) - リリコスさん» はい！ケレイブさんを筆頭に、ユキさん、ショウさん、スフェノスさん、ジエルさんから成る喧嘩グループが存在する、という事になりますね！ (2020年8月10日 23時) (レス) id: 472ca3e356 (このIDを非表示/違反報告)
リリコス(プロフ) - 割り込み失礼するですが、ということは喧嘩グループの存在が実在になると言うことでしょうか！ (2020年8月10日 23時) (レス) id: d250400d1f (このIDを非表示/違反報告)
くろーさぎ(プロフ) - アイコンさん» 了解しました！素敵なグループ名をありがとうございます(*´ `) (2020年8月10日 23時) (レス) id: 472ca3e356 (このIDを非表示/違反報告)
アイコン(プロフ) - Violent sinners バイアラント･シナーズ 暴力の罪人達 です！ (2020年8月10日 23時) (レス) id: 215c5317bc (このIDを非表示/違反報告)
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