◆22.過信と慢心/朝重春日 ページ25
粉々になった植物達。微かに漂う硝煙の臭いが煩わしくて、思わず眉を顰める。
気付かなかった。近くに悪趣味な武装をした猫が居たなんて。お陰で借りを作るつもりが、逆に作ってしまう結果になってしまった。しかも、よりにもよってあのど変態女にだ。最悪の極みだ。
だが、キレていても仕方がない。此方も頼まれ事を片付けよう。お釣りをたんまり付けてだ。
全くどう言う魂胆で中型、しかも熊型レイドロイドを一人で倒そうとしてたんだか、力の過信は身を滅ぼすぞ。
(まぁ、倒そうと思えば倒せられなくもないか……)
いやいや、これは慢心だ。自分の身の丈を知れ。
さて、文句は程々に、花園の言う通り“抑えといて”やろう。中型を倒すのは骨が要るが、抑えるだけなら楽勝だ。
此方に真っ直ぐ突進してくる熊型の頭上を跳躍して飛び越える。こう言う時、シーカーは楽だ。身体能力向上で、ある程度の事は身体一つで出来てしまうのだから。
熊型の背後に着地した瞬間に、刀を抜いて斬撃を繰り出す。武装されてない関節を狙い撃ち、熊型の腕を一本肩から切り落とす。
金属加工された毛むくじゃらの腕が、重量感満載に転がった。
「遅い、全然遅い」
体勢を崩した熊型の隙を突き、近くに落ちた腕を足で上に向かって蹴り上げ、注意を引く。
案の定、打ち上がった腕に気を取られた熊型。その懐に素早く入り込み、勢いでもう一本……と刀を抜き掛けた所で、横っ腹に激痛が走った。空いていた足で蹴られたのだ。目の前に火花が散る。
此方も負けじと刀を抜いて、力任せに薙ぎ払う。肉の切れる感触。その余韻に浸る前に、衝撃と共にビル一階のフロントに突っ込んだ。
「ゲホッ、痛ぇな……蹴ってんじゃねぇぞ、この薄鈍!」
何とか咄嗟に受け身を取り、コンクリート壁への激突は免れたものの、腹はまるで抉られたかの様に痛かった。
よろけながらも割れた硝子越しに熊型を見ると、切り離されてない腕で目を抑えながら悶えていた。どうやら、薙ぎ払った刀が熊型の目に命中していたらしい。俺に蹴りを入れた罰だ、ざまぁ見ろ。
近くでは、猫型と花園が対峙している。
猫型は花園の斬撃を軽やかに躱すと、高く跳躍して爪で引っ掻く。それを花園が紙一重で短刀で否し、薙ぎ払う。隙あらば能力で捕らえようとするも、猫型も柔軟性を生かして擦り抜ける。
腹は立つが、相変わらず綺麗な身のこなしだ。腹立つけど。
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七夜(プロフ) - 更新完了しました (2018年5月5日 16時) (レス) id: 468c1cc159 (このIDを非表示/違反報告)
七夜(プロフ) - 更新しますね (2018年5月5日 16時) (レス) id: 468c1cc159 (このIDを非表示/違反報告)
十二月三十一日(プロフ) - すみません、書き込むの忘れてました。編集終了しました。 (2018年5月4日 16時) (レス) id: 70aae954fa (このIDを非表示/違反報告)
十二月三十一日(プロフ) - 編集します。 (2018年5月4日 2時) (レス) id: 70aae954fa (このIDを非表示/違反報告)
十二月三十一日(プロフ) - 更新終わりました。 (2018年4月21日 19時) (レス) id: 70aae954fa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:十二月三十一日 x他9人 | 作者ホームページ:
作成日時:2018年4月5日 22時