◆11.焦燥/朝重春日 ページ14
嗚呼、面倒くさい。
数日ぶりの非番の日に、奴等は空気を読まずにやって来た。実に一ヶ月ぶりと言った所か。本当空気読めよ、こちとら新作ゲームの為だけに勉強張り切ってたんだから。
数十分前、家で過ごしていた所に連絡が入った。非番の特殊戦闘部隊員召集の報せだ。仕方無く家を出ると、カチカチと金属音を鳴らしながら、鳥みたいな何かが上空を旋回していた。
交通機関が麻痺した為、防衛局には20分の時間を掛けて到着する。案内役の局員に粗方状況を聴き終えると、すぐに愛用の刀と無線機を携え、現場に向かう……筈だった。
控え室、その片隅には姉が使っている弓矢が置かれていた。今日、姉は当番の筈。既に現場に急行していないと可笑しいのに、何故姉の弓矢だけが此処に置かれているんだ?
取り敢えず、弓矢を背負って街に出る。あのビビリの姉が丸腰とか有り得ない。それに、何となく嫌な予感がした。
「あーあー、朝重弟でーす」
「此方、作戦部隊。どうしましたか?」
声の感じから、相手はエリオットだと瞬時に理解した。高遠の方が良かったなぁ。まぁ、贅沢は言ってられない。
「あのさ、今日俺の姉貴来てない?」
「今、出勤簿確認します…………来てないですよ」
「やっぱり」
姉が行方不明だ。姉貴は無断で仕事を放ったらかす様な人じゃない、何が事情がある筈だ。クソ真面目でお人好し。だから、変な事に巻き込まれていないか心配なのだ。
ヘッドフォン越しから聞こえる声を軽くあしらいながら走っていると、不意に空から何が降って来た。鷲型レイドロイドだ。
素早く刀を抜いて、コアごと胴体を真っ二つに切り裂く。二つになった鷲型は無残な姿で地面に転がった。
「遅かったから、思わず真っ二つにしちゃった。運が悪かったね……ん?」
刀を鞘に収めながらそう吐き捨てると、前方に小さな物体が、ぽつんと道のど真ん中を陣取っていた。姿は猫、武装をしているからレイドロイドで間違いないだろう。
「ねぇ、エリス。猫型が居るんだけど」
「エリスじゃねぇよ! って、猫? 鷲-V型じゃなくて?」
「うん、猫」
どうやら情報不足が深刻な様だ。なら、情報を提供してやろうじゃないか。
そう思った矢先、猫は俺の目の前までやって来るなり、突然武装が光り出した。
(まさか、自爆する気か!?)
すぐさま猫との間合いを詰めて、猫の頭を鷲掴む。猫はそのままパキパキと氷漬けになった。
「危ねぇ……此方、猫-V型を確認。どうやら爆発するらしいよ」
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七夜(プロフ) - 更新完了しました (2018年5月5日 16時) (レス) id: 468c1cc159 (このIDを非表示/違反報告)
七夜(プロフ) - 更新しますね (2018年5月5日 16時) (レス) id: 468c1cc159 (このIDを非表示/違反報告)
十二月三十一日(プロフ) - すみません、書き込むの忘れてました。編集終了しました。 (2018年5月4日 16時) (レス) id: 70aae954fa (このIDを非表示/違反報告)
十二月三十一日(プロフ) - 編集します。 (2018年5月4日 2時) (レス) id: 70aae954fa (このIDを非表示/違反報告)
十二月三十一日(プロフ) - 更新終わりました。 (2018年4月21日 19時) (レス) id: 70aae954fa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:十二月三十一日 x他9人 | 作者ホームページ:
作成日時:2018年4月5日 22時