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「おはよう？夜。」
「あ、隼さん……。おはようございます。」
今日は早いですね、と移動しながら声をかけると軽く笑ってから返事が返ってきた。
「それが海に叩き起こされたんだよ。『たまには早く起きろー』ってね？」
「あはは……。」
海さん朝からお疲れ様です……。そんなこと思いながら目覚ましにお茶を淹れる。
白い湯気が昇ってもう夏も終わってるんだな、と謎の実感に浸った。
「……あ、隼さんに夜さん。おはようございまーす！」
「おはよういっくん。」
「走ってきた……んだよね？お茶いる？」
「あ、欲しいです！」
いっくんの分のお茶を淹れて机に置く。
今日は午後からライブの練習なので午前はゆっくりできる。
ライブか……。一回でもAに見に来て欲しいなぁ。
「……夜さん？どうかしました？」
「あぁぁ、何でもない！」
「よーるー？何かあったのかなぁ？」
「ほ、本当に何もないですって……」
少なくとも隼さんに知られると面倒なことになりそうな気がしなくもない。
知られてマズイことでもないんだけど。
「昨日の二年前夜が好きなやつに告ったんだよー。」
「ちょっ！？陽！？」
思いがけない所で陽が出てきて言ってしまった。
「え、そうなんですか！？」
「おやおや、それは思い出深い日だねぇ？」
「夜さん、どんな人だったんです！？」
意外といっくんが食い付いてきた。
もうこうなったら引き返せない感じだ。
「えーっと、明るくて優しい子……？」
「王道だねぇ。」
「男女関わらず仲良く話すムードメーカーみたいな……だけど空気も読める良い子って感じですかね？」
「お似合いですね！」
いっくんに言われた一言に苦笑いしか出てこなかった。
言われたこと自体は嬉しいけどもうAには彼氏とかいるかもしれないし、Aの隣にいるのは俺じゃないことは明らかだから。
「あっ、なんか俺マズイこと言いました……？」
「んで、振られてる。」
「えっ！？あ、その……すみません。」
申し訳なさそうに謝るいっくんに気にしてない、という意思を伝えるために声をかける。
「良いよ良いよ。……まぁ、諦めきってないしね？」
「じゃあ夜さん頑張ってください！！」
「あはは、うん。ありがとう。」
素直に応援されたのが嬉しくて笑みが零れた。……が。どう頑張ろう。
『諦めていない』と公言したんだ、何か頑張らないと。
そう思いつつお茶を一口飲んだ。
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