悲劇を生む悪魔の実 ページ19
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船のへりに頬杖を付き浮かない顔のサッチと海に背を向けドーナツをくわえ、エースと船員が組み手をしている光景を見るメア。
「なあ、メア。今日の晩飯何がいい？」
「キャラメルソースをかけたポン・デ・リングに生クリームと
カスタードを挟んだフレンチクルーラーにーーーー」
「聞いただけで糖尿病になる！やめろ！」
基本的にメアの主食は栄養も糞もない甘味と現実的可愛さの固まりドーナツだ。
「聞いたのは主婦みたいな事を言うあなただ」
「お前に聞いた俺がバカだったよ。ほら、あんだろ？こー栄養満点で、な？」
「語彙力。そういうのは私じゃなくて、エースやマルコ、イゾウに聞いて」
メアは組み手に参加するその3人を指差す。
語彙力、献立に悩むサッチには毒舌なんて通用しなかった。
これが、献立に悩む中年主婦の姿なのか。とメアは一人で関心する。
はあと溜め息を吐くサッチの視界に海を漂う小さな木造の小舟が迷い混む。
その小舟には太陽に反射する何かが乗っており、サッチの興味を引く。
「なあ、メア」
「何。献立思い付いた？」
振り向いたメアにもしっかりその船は言われずとも確認できた。
それほど、近い距離にあるのだ。
サッチがメアに向かって微笑んでいる。
「言っておくけど、私は物質製造機じゃない」
メアの能力はブラックホースだが基本的に便利さに特化した物質化能力。
言い換えればコトコトの実の能力者は「言の葉使い」と言い表せるだろう。
四大元素以外の物質化は多少の条件を伴うが可能だ。
「ショートカット ロープ」
味と想像だ。
ロープなら役に立つだろうといつかは忘れたが、舐めて脳にインストールしておいたのだ。
コトコトの実は五感と想像力が豊かな存在に適しているだろう。
作りが複雑かつ人工的で細かいものは舌で舐めて味(味覚)を覚え、辞書登録をすることで物質化可能。
出現した長いロープをサッチに渡す。
サッチは先端をわっかにして小舟の飛び出た部分に引っ掛ける。
ロープを引っ張れば小舟は本船に近付き、サッチは軽々小舟に飛び降り太陽に反射する何かを回収して戻って来た。
勿論、メアがまた物質化させた梯子だ。
賑やかな組み手会場から離れた所で二人は金であしらわれたキバコを囲む。
「開けるぞ」
サッチは持参のナイフで蓋を抉じ開ける。
ドス黒い。
だけれど、美しい。
闇夜のような闇よりも闇らしい悪魔の実。
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作者名：神原瑞希 | 作成日時：2017年11月14日 18時
