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「まふまふ?こんな時間から何?」


眠そうなそらるさんの声が耳に届く。まだ眠っていたのかもしれない。起こしてしまって申し訳ないと心のどこかで思ったけれど、僕にとってそれだけAは大事な存在なんだ。



「そらるさん!Aが、Aがいなくて……」


「は?……お前、今どこにいんの?」


「僕のことなんてどうでもいいでしょう!?Aを知りませんか!」



そらるさんの声が怪訝そうに問う。きっと雨音が聞こえたんだろう。それなら、僕がどれだけ必死が分かるはずなのに。



「Aちゃんがいなくなったの?心当たりは?」


「無いから焦ってるんです!家にも、公園にも、どこにもいなくて……」



話しながらも走る足を止めることができない。はやく見つけて温めてあげたい。Aはひとりで寂しいはず。もしかしたら、帰り道がわからなくて途方にくれているのかもしれない。

怯えたように空を見上げるAの姿が浮かんで、硬く拳を握りしめる。A、君はどこに行ってしまったの?



「まふまふ、落ち着け。一旦俺の家来れる?」


「そらるさんの家にAがいるんですか?」


「そういうわけじゃないけど……」


「Aは今もひとりで雨に震えてるんですよ!?僕が帰ったら、誰がAを探すんですか」





電話越しに思い切り叫んでいた。ずっと名前を呼び続けていた喉はカラカラに渇いていて、どこかが切れたのか奥の方で血の味がした。



痛いし、寒いし、辛いけど。

Aはもっと、ずっと苦しいはず。




あーもう、とそらるさんが唸る声が聞こえた。ガシガシと頭をかいているらしい音がする。



「俺も探すから。でも、お前がびしょ濡れじゃAちゃんびっくりしちゃうだろ?だから、一旦着替えにおいで」



そらるさんの声は泣いている子供をあやすように優しくて、僕はこの比喩をして初めて、自分が泣いていることに気づいた。

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囀李 - 私の名前これさえずりと読みますわかるよね?でも、この曲私の心と同じで泣けるんですよね。 (2018年10月24日 20時) (レス) id: 00238eb098 (このIDを非表示/違反報告)
nmr_mai0128(プロフ) - ほんとに感動しました!もう読み終わったときに涙が止まらなくて...こんなすごい小説を書けるってすごいですね! (2018年10月19日 23時) (レス) id: df6b3d5650 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:有紀 | 作成日時:2018年10月16日 19時

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