ただ、傍にいるだけ。 2【忍足侑士】

Quiet talk_3 ページ47

東京は…と言うか恐らくここだけやけど

誕生日は中々に難儀や

先に誕生日を迎えた跡部は当日、珍しく慌てふためいて

学校中を駆け回っていた

まあ、あんだけ追われたらしゃーないな…女って怖いもんや



「で、その経験を全く活かせずに侑士はプレゼントに埋もれてるわけだ…」

「返す言葉もございません…」



俺はほんの一週間程度前のその惨事を忘れて

暢気に過ごしてたもんやからプレゼントに埋もれる羽目になった

送られてきたもんはお菓子なんかの消費できるものとはいえ

なんせ、量が量や…



「侑士、どうすんだよ！こんなにして見つかったら先生に怒られるぜ？」

「俺のせいやないやん！」

「ウチの学校では貰った人に責任があるんだよ

だから、跡部は逃げてただろう？最終的にはまとめてトラックで持って帰ったけど」



残念ながら一般庶民の俺にはそんな芸当は出来へん

項垂れていると見かねた岳人達は俺の手伝いをして

取り敢えずと、部室に運び入れてくれた

ちなみに面倒なニオイを感じたのかこの日ばかりはAは先に帰ると逃げて行った



「っても…このまんまじゃ、持って帰れねぇよな…」

「本当、ちょっと多すぎだC〜」

「……テメェ等、部室に菓子大量に集めて何してやがる」

「全部、忍足の誕生日プレゼントだよ」



ホームルームも終わりやってきたのであろう跡部に問いかけられ

滝がそう答えると珍しく憐みの目を向けられた

……あぁ、多分、俺もこんな目向けた気する



「まあ、紙袋いくつかあるから一緒に詰めてみようか」

「あぁ…助かるわ」



滝が持ってきていた紙袋に詰め込むことで何とか、運べる形にはできた

流石に収まりきらんかったのは

食べたがった岳人やジローにあげたけど…それだけは許してほしい

ホンマ、無理や

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