ただ、傍にいるだけ。【忍足侑士】

By your side_32 ページ34

部活動が終わり、図書室に行くと珍しくまだ人が残っている様子だった

ガラッと音を立ててドアが開くと中にいた生徒の視線がすべて俺に向いてきた



『んっ？今日はもう貸し出し終わったけど、どうした？』

「あぁ…すんません、A…尾前さんおります？」

『尾前ならあっちあっち、登録システムのメンテナンス中』



指を差された方を見ればパソコン用の眼鏡をかけたAがキーボードを叩いていた

俺にはまだ気づいていないようだ



『尾前、すげぇよね

あんだけ分かりにくかった登録システムが一日で俺達も使えそうだ』

「A、何でも出来るんですわ

自慢の幼馴染なんですわ」



俺がそう返すと

何か思い出したようにその先輩が声を上げた



『あぁ！君か、尾前の幼馴染のテニス部レギュラーって！』

「A、何か言うてました？」

『アハハ、口止めされてるから秘密な

取り敢えず呼んできてやるよ！

今日でほどんど終わったから明日に持ち越してもいけそうだからな』



その先輩がパソコン元までAを呼びに行くと

眼鏡を外したAが荷物を持って俺のところまで来た



「ごめん、気づかなかった

大分、待たせた？」

「いつもは逆やし気にしてへんで

まだ残ってるみたいやけど、取り敢えずはお疲れさん」

「…んっ…じゃあ、先輩

すみません、お先失礼します」

『お疲れさん、また明日な！

今日は色々、ありがとう助かったよ』



他の図書委員の先輩方に見送られて俺とAは図書室を後にした

初めて、此処で活動している様子を見たけど

Aがちゃんと馴染めているようで安心した

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