君とセカイでもう一度。【天馬司】 (ページ21)

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あまりにもページ21

「私は、あの人を置いてここから離れるなんて……できません」

「いつまでもお世話になる訳にはいかないと、そう言ってなかったか？気でも変わったのか」

「そ……れは」

「このまま変われないままで、お前はそれでいいのか」

「つ、司！ちょっと熱くなりすぎじゃない？」

「Aちゃんの言葉なんだから、ちゃんと聞いてあげて！」

詰め寄る司を、寧々とえむが宥める。司は渋々といった様子で引き下がったものの、依然として鋭い視線を向けてくる。

Aにはわかっていた。彼がどれほど自分のことを想ってくれているのかを。
司のことが思い出せなくとも、彼の優しさは身に染みて理解できたのだ。

だからこそ、軽々しく決断を下すことはできなかった。
どちらにしたって、失うものがあまりにも大きすぎる。

そんな時だった。

「――明日のショー、おばあさんと観に来ないかい？」

「ショー……ですか？」

突然の提案にきょとんとするA。

類は、幼い頃から近くで見てきた司のショーを見ることで、彼女の記憶を取り戻すきっかけになるのではないかと考えていた。

「この場所での公演も、明日で最後なんだ。どうだい？」

「……行きます。それと、件の話については、もう少し……少しでいいんです。時間をください」

「ああ、その方がいいだろう。問題ないね？司くん」

類の問いかけに、司は不承不承といった様子ではあったが頷いてみせた。