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洋風建築 ページ4

「結局なにも、見つからなかったな……」


あれから15分ほど周辺を探し回ったが、Aが反応を示すようなものは何もなかった。
落胆した様子で司がぼやくと、Aは少し申し訳なさげな表情で俯いた。


『気のせい、だったのかなあ……ごめんね 役に立てなくって』

「大丈夫だよ! 向こうもう一回探してみよ!」


明るく励ますえむに続いて、寧々もAに声をかけた。


「ここなら見晴らしもいいし、次に探す場所も決めやすいんじゃない?」

「そうだな。よし、じゃあ今度はもう少し奥まで行ってみるぞ!」


奥に行くんじゃ見晴らし関係ないじゃん、という寧々のツッコミも聞かず、司は先陣を切って歩き出す。

その後ろ姿を見ながら、「まあいっか……」と寧々も諦めて足を進めた。
それから更に歩いたところで、突然えむが立ち止まった。


「――ねえみんなっ、あれ見て!」


彼女の指さす先にあったのは、人が住んでいそうな二階建ての建物。
洋風建築のそれは華美な塀に囲まれていて、窓枠には繊細な模様のステンドグラスが嵌められている。


『あ――ここ……ここだよ! わたしが見た場所、そのまんま!』

「ほ、本当か!?」


興奮気味に叫ぶAに、司の声も大きく上擦った。
急いで入口の表門へ向かい、インターホンを鳴らす。

……返事がない。もう一度鳴らしても、やはり何の反応もなかった。


「お留守みたい……」

「そうだね……電気も付いてないし、出かけているようだ」


えむの言葉に、類も同意する。


「どうしよう……勝手に入っちゃう?」

「そうしたいのは山々だが、さすがに不法侵入はな……」


門の中を覗きこもうとしながら言う寧々に、司が答える。
どうしたものかと悩んでいると、不意にAが口を開いた。


『わたし、なんだかあっちの方が気になる……』


彼女が指し示したのは、建物の裏手側にある雑木林だった。
司達が歩いてきた方向の森と違って、こちらは手入れされていないようで、鬱蒼と茂っている。


「わかった、オレが連れていく。お前達は家の人と入れ違いにならないようにここで待っててくれ」

「うん! 二人とも行ってらっしゃい、気をつけてね!」

歌声→←崖



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設定タグ:プロセカ , 天馬司 , ワンダーランズ×ショウタイム   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:あきいろ | 作成日時:2022年9月18日 8時

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