第86話 東部のお茶 ページ37
ワイワイぎゃあぎゃあと騒がしい宴。
下らない下ネタが聞こえるたびに、前の世界で行っていた高校の男子を思い出した。
関わることのなかった人達。
関わることのなかった青春を謳歌する女子高生達。
私の青春は推しを1秒でも長く堪能すること。
青い春とはなんじゃいな、と無縁だった私は特に暗くはないけどオタク感満載のタペストリーとポスターだらけの部屋でひとり思ってたなぁとまるで幼い頃を思い出すように考える。
改めてなんで自分はこんなところにいるんだろうとお茶をごくりと飲み干した。
『…？』
「どしたんAちゃん」
今飲み干した液体が入っていたコップを見つめる私の顔をシャオロンさんがずいと覗き込む。
揺れる茶髪すらも可愛いなぁ。
『あの、配られたお茶ってどういうお茶ですか？』
「どういう？それって成分的な？」
『あ…いや、何か薬というかポーションとか入ってますか？』
「ポーション？いや普通の茶葉で作られた東部の物やと思うけど…ひとらんに聞けばわかるんちゃう？」
いつの間にか参加していたひとらんさんを呼びに行ってくれるシャオロンさんを目で追うことなくグラスを眺める。
別にまずかった訳ではない。
ただ少し…先程飲んだ回復薬のような、空気のように溶けたような気がしたのだ。
軍の飲み物だから、何か回復薬に似た薬が入っているのかと思ったんだけど…
まだ冷たいグラスを回せば、ガラス細工が光を屈折させて小さな虹が手元にできる。
虹を見つめていると、一瞬くらりと脳が回った。
『…』
「Aちゃんどうした？お茶は苦手だった？」
『…あ、ひとらんさ…』
シャオロンさんが呼んでくれたらしい白い彼に少し驚いて肩が飛んだ拍子に手が触れていたグラスがぐらりと傾く。
「うおっ、あぶな…！！て、なんだ中身入ってなかったのか。よかった」
私は中身が入っていなかったと知っていたけれど、目の前で突然倒れたグラスに手を伸ばして抑えてくれたひとらんさん。
どくんと心臓が待ってましたとばかりに波打った。
『…な、』
「え？」
『なんでぇ！そんなイケメンだと惚れちゃいますよぉ！？』
「は」
「ブフォッ」
「んグッ」
一度も本気で声を張り上げたことのない異世界のオタク少女が、軍大国我々の幹部共々の時間を止める。
静まり返った空間では途中参加の最後の二人が開けた扉だけがゆっくりと勢いのまま音を立てていた。
『んぇ？』
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弦(プロフ) - 人外人間白乃雫さん» コメントありがとうございます！御本人様自身もよく言われてらっしゃいますよね…！ (4月16日 23時) (
レス) id: c2360e86b7 (このIDを非表示/違反報告)
人外人間白乃雫(プロフ) - 98話のrbrさんのセリフの「はぁい。rbrですぅ〜」が脳内再生ゲロ余裕で笑った(言葉使い()) (4月16日 6時) (レス) @page49 id: 4a8cb482e0 (このIDを非表示/違反報告)
弦(プロフ) - ピット☆さん» コメントありがとうございます！え、そうなんですか…！？知りませんでした、教えていただきありがとうございます！確かに青い鳥荒れてましたね…少しの間鍵をつけようかと思います…！ご報告、本当にありがとうございました！！ (2022年3月24日 15時) (レス) id: 3066eb4d27 (このIDを非表示/違反報告)
ピット☆(プロフ) - コメント失礼しますっ！この作品と作者様がとても大好きです！大好きだからこそ鍵付いて読めなくなったら辛いですが伝えさせて頂きます…！最近青い鳥にてnmmnの晒し・荒らしがあるとの事なので落ち着くまで鍵を付ける方がいいかも知れません…、お気を付けて下さい！ (2022年3月22日 12時) (レス) @page21 id: 9c7661f737 (このIDを非表示/違反報告)
弦(プロフ) - るきあさん» コメントありがとうございます！！喜んでいただけただけで私は満足一本でございます…！ちょっと今の所ﾛﾛﾛさんが多くなってしまっていますが、段々他メンバーさん距離を縮めるつもりです！(餌付け組がわからない無知な作者ですみません…) (2022年3月18日 11時) (レス) id: c2360e86b7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：弦 | 作成日時：2021年12月10日 8時
